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鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第3巻1

すこやか生活

ウイルス性肝炎

 近頃、ウイルス性肝炎の話題がマスコミを賑わしています。A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎が有名で、マイナーなイメージのD型、E型・・と、その後もいくつかあり、これからも発見されるでしょう。ウイルスはそれぞれ、体の細胞の居心地の良い場所に居着き、そこで子孫を増やし、次々と他の人間に感染しながら広がっていきます。インフルエンザは喉に、おたふく風邪は耳下腺に、ロタウイルスは腸になどです。肝炎ウイルスも居心地の良い肝臓に住み着きます。すると人間の体は何とか追い出そうとして、戦いをくり広げます。ウイルスは細胞の中

に巣くうので、細胞を助けてウイルスだけ殺すのは至難のワザです。そこで、感染した肝細胞もろともウイルスを殺そうとしその結果が肝炎です。住み着いたウイルスを完全に殺しきってしまい、その後は二度とそのウイルスにかからない免疫力を獲得するのが急性肝炎。住み着いたウイルスが肝臓の中に上手に隠れ、長期に渡って戦いを続け少しずつ肝臓が壊れていくのが慢性肝炎です。慢性肝炎では、ウイルスはすでに体の一部のように振る舞うため、人体も強い免疫力を発揮できず、だらだらと戦いを続けます。こうして慢性肝炎は徐々に、肝硬変へと進みます。


A型肝炎の特徴

 A型肝炎はかつての日本では、ごく一般的な病気でした。ウイルス自体は発見されてまだ30数年しか経っていません。50代後半より年上の方には"子供のときに、黄疸になった。"などという経験が、よくあると思います。血液を調べるとこれらの方の大半は、A型肝炎の免疫抗体を持っているので、過去に一度感染しているのです。A型肝炎は食べ物、飲み水などと一緒に口から入ります。戦後、衛生状態がよくなって激減しました。しかし、まだまだ散発的に発生しています。アジアやアフリカなど衛生状態の悪い国では、現在でも

流行中です。輸入海産物などから感染する機会が、今後、増加することも考えられます。
 
A型肝炎は、B型、C型と違い、慢性肝炎になることはありません。急性肝炎で終わるため、ごくまれに重症化した劇症肝炎になった場合を除き、心配ありません。自然に治るのを待てば良いのです。もちろん黄疸が出ている時は、安静が必要なので、体を休め、快方に向かうかどうか見極める必要があります。若い方で、南アジアやアフリカに長期赴任するような場合は、予防接種をしておくのもよいでしょう。

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ウイルス性肝炎治療の考え方