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り、心を鎮めたりてんかんを抑えたりするので、用途によって睡眠薬、精神安定剤、抗てんかん剤と呼ばれます。つまり、睡眠薬と安定剤は基本的に同じ薬なのです。よく、睡眠薬は副作用が心配だけど安定剤なら心配ないので飲んでいるとおっしゃる方がいますが、これは全くの誤解です。もちろん、用途がちがえば、同じ薬でも使用量が異なります。また、同じベンゾジアゼピンでも、薬によって長く効いたり早く効果がなくなっ

たり、眠気が強かったり弱かったりと種類によっても異なります。このように、使用量や、薬の持続時間、効果のちょっとした差を、目的にあわせ、睡眠薬として、安定剤として、そして抗てんかん剤や抗うつ剤の補助として我々は使い分けています。従って、これらの薬の呼び方が違ってもあまり神経質に考えないようにして下さい。そうでないと、眠れなくなったり、不安になって損をするかもしれませんから。






睡眠薬、安定剤の位置づけ
 
同じ薬でも量が違う物もあるため、これは大体の目安です。

アルコールと睡眠

 お酒を飲むとすぐに眠くなって寝てしまう人がいます。かく言う私も、自宅で飲むとすぐに眠くなります。このようにお酒は眠りを誘うため睡眠薬がわりに使われがちですが、いくつか大きな問題があります。まず、入眠を誘いますが、睡眠薬と違い朝までグッスリとはゆかず、早朝に目が覚めて眠れなくなります。この間の睡眠はREM睡眠が起こりにくくなります。また、アルコールを続けると、少量飲んでも眠くならないという慣れが出てきます。慣れると飲酒量が増えていきます。このためお酒を睡眠薬がわりに連用すると、肝臓や膵臓を傷めたり、糖尿病を起こします。

そして、アルコール依存者(アル中)は、1/3〜2/3の人が睡眠障害に悩んでいます。このように睡眠目的でアルコールを始めた人々の中には、当初の目的を達するどころかアル中になり、しかも不眠が治らない場合も多く、アルコールを睡眠薬がわりに使うのは極力避けるのが得策です。また、睡眠薬と併用すると、記憶喪失を起こしたり、せん妄状態という異常に興奮して訳のわからない事を言ったりやったりすることもあります。俗に言うトリップしたという状態です。以上のとおり不眠の方はアルコールとのつきあいに注意が必要です。

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