気圧が下がると、体の外側から圧迫する力が減少し、血管から血漿という水分が漏れ出て、あちこちがむくみます。
 低気圧と一口に言いますが、圧が下がってくる下降期、最低に達し横ばいになるボトム(底)、そして低いながらも圧が上がっていく上昇期の3段階があります。このうち、最初の下降期に喘息やアレルギー性鼻炎、リウマチなどの方は症状が悪化します。いわゆる下り坂という時です。
 下り坂では何が起こるのでしょうか?気圧に押されていた鼻粘膜や気管・気管支の内腔は、圧が弛むと空気を押し戻し、腫れてきたり内径が狭くなり、空気が通りにくくなります。(図)この結果、鼻が詰まったり、気管の狭窄によるぜんそく発作が誘発され

ます。圧が低いと、外圧が鼻粘膜の血管やリンパ管の浸透圧に負け、そこから水分が漏れ出てきます。そして、鼻水が増えたり、気管支分泌物が増えて痰となり、益々空気は鼻や気管支を通りにくくなります。また、始終鼻をかんだり、咳で痰を出さざるを得なくなります。
 気圧の低下は気道だけに影響するのでしょうか?いいえ、気圧はまんべんなく全身に影響します。気圧が下がると全身の血管から外側へ水が漏れ出てくるので、皮下のむくみが増加します。この、むくみがどこに出るかで全身に様々な不具合を生じます。
頭痛:鼻づまりによって副鼻腔と鼻の交通路が閉ざされると、ちくのう(慢性副鼻腔炎)と同様に、前額や目の奥の痛みが出ます。脳のむくみ、つまり脳浮腫の状態は、髄膜炎や脳梗塞、脳出血そして片頭痛が典型です。軽い低気圧くらいではこれらほどの激痛は起こりませんが、閉鎖空間である頭蓋骨内がむくめば脳が圧迫されるので頭痛は避けられません。
関節痛の悪化:リウマチなどの関節痛も低気圧で悪化します。低気圧によって関節を構成する滑膜、じん帯や筋肉などにむくみを生じ、関節液がしみ出て溜まります。この結果、関節内やその周囲がはれぼったくなり痛みの原因となります。
だるさ:だるさは眠さと表現されることもあり、漠然として説明が困難ですが、筋肉の疲労物質が消去されず溜まっ

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気圧と気道の変化

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