「季節の変わり目によく風邪をひく。」などと使われる、"季節の変わり目"は、四季のある日本らしい言葉です。ところが変わり目といっても、冬から春、春から夏、夏から秋、そして秋から冬では自ずと変化は異なります。今回は、季節の変わり目にいったい何が起こっているのか、どんな体の変調をきたすのか、そして、どのような対応をしていくべきなのかを考えてみましょう。
季節の移り変わりと環境の変化
 まずは、冬から春。日本の冬は、冷気を帯びた大陸性の高気圧に覆われ、おおむね好天が続きます。しかし2月から3月になるとこの高気圧は勢いを失い、天気は不安定になります。気圧の変化とともに雨が増え、寒さも徐々に緩んできます。また、植物も目覚め、スギやヒノキなど針葉樹の花粉が飛び始めるのもこの時期です。
 春から夏は不安定な春の気候から梅雨を経て真夏に至るまでです。4月末から5月は比較的良い天気が続き、急に気温が上がります。特にゴールデンウィークには30℃まであがり、かったるさを感じる日が出てきます。梅雨になると湿度が増し暑い日と、肌寒い日が入れ替わるなど、気温の上下が目立つようになります。この変化は、主に低気圧の仕業です。梅雨が明けると、太平洋高気圧が日本を覆う、真夏に入ります。7・8月はどこへ行ってもエアコンが入り、冷房にさらされます。室内外の気温の急激な変化は、体の自律神経のスイッチを、交感神経側←→副交感神経側双方へ、めまぐるしく切り替えます。この切り替えによって体の安定性が損なわれ、体調を崩します。具体

的には急に寒いところに入り、体が冷えると熱を逃がさないため血管が収縮し、肩の筋肉への血液循環が妨げられ、筋緊張調整頭痛が起きます。逆に暑いところに急に出ると熱を逃がすため血管が拡張して、片頭痛を誘発したりめまいを覚えます。エアコンの入りはじめは、吹き出し口からホコリが舞う時期でもあります。ハウスダスト(ホコリ)にアレルギーのある方は鼻炎や喘息が悪化します。田植えの時期を過ぎると穂のついた雑草(カモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリなど)の花粉が飛びます。
 夕暮れの訪れが早くなったと感じると、季節は夏から秋に変わります。秋の初めは、ブタクサやヨモギなどの雑草の花粉が舞い始めます。このころは一年で最も喘息発作の起きやすい時期です。9月、10月は天候が変わりやすく、台風もやってきます。大雨や突風をもたらす台風の正体は、超低気圧です。台風が近寄ってくる時には、低気圧による体の不調が思い切り強調されるので、注意が必要です。
 最後に秋から冬。気候は比較的安定していますが、気温が下がるため再びエアコン(暖房)が入ります。この結果、春から夏に起こったことと同様なホコリによる体調不良が起きます。幸い、この時期は花粉がないためひと安心ですが、高熱と強い症状の風邪、いわゆるインフルエンザが流行るのでやっかいです。こちらは予防接種で、対策可能です。
 以上が年間で見た、季節の変わり目で起こる主な環境の変化です。その時期になったら、思い起こしてください。






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