すこやか生活

第10巻4号 

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エネルギー収支の考え方

 ヒトは食物を食べて胃腸で消化・吸収を行い栄養の三要素である、炭水化物(糖・デンプン質)、タンパク質、脂肪を取り込みます。これらは、体を作るための材料になりますが、ヒトが活動をするためのエネルギー源としても消費されます。
 この、取り込んだエネルギーをエネルギー摂取量と呼び、使われたエネルギーをエネルギー消費量と呼びます。エネルギーの出入りは、その場その場でプラスにもマイナスにもなります。食べ過ぎるとプラスになり、体重が増えます。逆に食を減らすと、マイナスになり体重が減ります。また、運動によるエネルギー消費が多ければ体重が減り、運動不足になると体重が増えます。このエネルギーのバランスがどちらに傾くかをエネルギー収支と

呼びます。
 表の様に、体重増加の原因は、食べ過ぎと運動不足、体重を減らすためには食事を減らすことと十分な運動をすることです。体重に増減のない場合は収支バランスが取れています。食べ過ぎても十分な運動をしていれば体重の増加はなく、食事を減らしていても体をあまり動かさなければ体重に減少は見られません。
 減量ができない方の多くは様々な言い訳をします。この単純なエネルギー収支の関係は、リンゴが木から落ちるのと同様、自然の摂理です。ダイエットがうまくいかない方は、もう一度この当たり前のことを確認して、自分の生活を見直してください。






エネルギー収支

覚えて得するエネルギー収支の数字

 食品成分表、80kcalを1単位とする糖尿病の食事療法。安静時代謝量(安静時でも必要な最低限のエネルギー量)を基準とする運動強度メッツ。メッツ換算のエクセサイズと呼ばれる運動量など、エネルギー収支を計算するための系統だった計算法は確立されています。特定保健指導でもこれらを駆使して卓上で作られる合理的で見事な減量プランが提示されることになります。しかし、ちょっと待ってください。こんな面倒な計算を考えるだけで減量意欲がしぼんでいく気がしませんか?減量の基本はエネルギー収支をマイナスにすることにつきます。脂肪を効率的に燃焼させるた

めに有酸素運動を十分行い、食べる量をカロリーを意識して減らすだけです。そこで、簡単にイメージできるエネルギー収支の数字をまとめました。覚えておき日常生活で思い出して、減量に生かしましょう。
体脂肪1kgは、7000kcal
 脂肪は9kcal/gと理科で教わります。しかし、体脂肪はサラダ油やバターではありません。体脂肪には主成分の脂肪以外、細胞成分としてのタンパク質、デンプン質そして水が含まれます。このため、体脂肪はおよそ7kcal/gに相当します。1kg減量するためには、およそ7000kcalのエネルギー収支のマイナスが必要です。

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