CKD ステージごとのケア

ステージ1の方−GFRほぼ正常
 "基本的に腎臓疾患はありません。"と、言い切りたいところですが、タンパク尿やアルブミン尿が出ている方はCKDの初期の可能性があります。血圧が高く超音波などで多発性のう胞腎と診断されている方は先々腎機能低下が起こる可能性が高くCKDと同様なケアが必要です。これらに該当する方は腎機能の定期検診を行うとともに降圧剤の内服など腎機能低下を防ぐ治療が必要です。
ステージ2の方−軽度の腎機能障害
 尿タンパクなどが出ている方はCKDの可能性が高いです。高血圧、糖尿病のある方は、治療が不充分だと腎機能低下が加速しますので、元の病気の治療に積極的に取り組んで下さい。
 尿に問題のない方はCKDではありません。しかし軽度の腎機能低下があるので、悪化してきていないかどうか年に1度程度は血中クレアチニン濃度とタンパク尿(アルブミン尿)の有無を確認しておきましょう。
ステージ3の方−中等度の腎機能障害
 腎機能低下が明らかになってきています。今後さらに機能が落ちてくる可能性もあり、心筋梗塞など虚血性心疾患のリスクも増えます。ここから先はCKDです。タンパク尿(アルブミン尿)が出ている場合はこれを減らす治療をします。高血圧や糖尿病も、より厳格な治療が必要です。定期的な腎機能検査の他に、心電図や胸部レントゲンなど虚血性心疾患の有無を把握しておくことも大切です。

ステージ4の方−高度の腎機能障害
 CKDの慢性腎不全になりかけている状態です。腎臓の治療を始める時期ですが、同時に食事療法も行わなければなりません。その内容はタンパク制限(一日40g以下)、塩分制限(一日5〜7g)を基本としますが、血液中のカリウムが高くなければ(4.5未満)カリウム制限は不用です。また尿にタンパクが大量に出ていてむくみがある方(糖尿病に多い)は、水分制限が必要ですが、それ以外の方はむしろ多めに水分を摂ってください。血圧は130/80 mmHg以下が目標で、糖尿病のある方は血糖が正常値になるくらい、徹底的な治療が必要です。
ステージ5の方−腎不全期
 この時期は急に腎臓の働きが低下し、心不全や心筋梗塞を起こす最も危険な時期です。腎臓の働きが10%以下またはクレアチニン値が8.0mg/dL 以上(または尿素窒素値が100mg/dL 以上)になったら透析療法が必要です。急な悪化に対しすぐ透析ができるよう、前もって透析用のシャントを作っておくこともあります。こんな方は一度、透析施設のある病院の腎臓内科を受診しておきましょう。食事療法(タンパク制限、塩分制限)も徹底的におこないます。血液中のカリウムも高くなるので生野菜や果物は控えましょう。むくみのある方は水分も控えてください。だるさ、食欲の低下、吐き気、息苦しさ、動悸、胸痛が出てきたら、腎不全、心不全の兆候です。緊急透析が必要な場合もありますので、すぐ受診しましょう。






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