鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活6巻7号

すこやか生活

新興感染症とは

 結核、破傷風など、古くから人類を脅かしてきた感染症の多くは、抗生物質や予防接種によって、この50年の間に克服されてきました。これらの細菌感染症のほか、痘瘡やポリオ、日本脳炎などのウイルス感染症も、絶滅したかほとんど見られなくなりました。このように20世紀は致命的な感染症の脅威から人類が解放され、寿命が大幅に延びて、ガンや生活習慣病が脚光を浴びるようになりました。しかし、その間隙を縫って今まで余り見られなかった感染症が少しずつ広がり新たな脅威になろうとしています。その多くは抗生物質の効かないウイルス感染症です。これらの新しく出てきた感染症は新興感染症(emerging infectious disease)と呼ばれ、新聞や雑誌を賑わすようになりました。今回は、こういった

新興感染症とその周辺にある病気をまとめ、これからの時期に流行するインフルエンザの関連事項にも触れます。
 多くの新興感染症に共通の特徴は、元々人間以外の動物に感染する微生物が、そのまま、または姿を変えて人に感染することです。人類が自然環境を浸食しすぎてしまい、居場所の無くなった微生物が新たな住みかとして人を選んだとも言われています。人間活動のグローバル化によって、油断していると、あっと言う間に全世界に広がってしまう可能性のある感染症もあります。幸い医学が進歩し、研究対策も迅速に行われるようになってきているので、これらの病気が多くの犠牲者を出す前に収束し、撲滅されると良いですね。





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