アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症

 認知症とは、一度正常に発達した知能が何らかの脳障害によって低下し、日常の家庭生活や、社会生活が営めなくなった状態を言います。知能が低下すると、ものを認識することが難しくなったり、記憶障害や名前や場所、時間などがわからなくなります。そして、ひどくなると人格まで変わってしまいます。この脳障害の起こり方の違いで代表的な2つの認知症にわけられます。
アルツハイマー型認知症
 以前は40代、50代で痴呆になってしまう人を初老期認知症(アルツハイマー病)と呼び、高齢者で起こるアルツハイマー型老年期認知症と別物だと考えられてきました。ところが、この二つの大脳の壊れ方がそっくりなため、年齢は関係のない一つの病気として考えられるようになりました。アルツハイマー型認知症では、大脳皮質の神経細胞が広範囲で少しずつ消失し、脳が萎縮します。これによって、軽い物忘れなどから始まり、場所や時間がわ

からなくなったり、つじつまが合わない行動をとったりします。そして、認知症が進むと自分が誰だかわからなくなったり、自発的な行動が不可能になり、歩行も困難になってきます。重症になると、寝たきりになって排尿排便も垂れ流しになります。このようにアルツハイマーでは、広範な知能低下が徐々に進んで行くことが特徴です。CTやMRIでは脳がすかすかになっています。原因はまだごく一部しか解明されていませんが、脳のなかのアセチルコリンという伝達物質を利用する神経細胞がひどく減っていることが知られ、その解消が治療のとっかかりになっています。
脳血管性認知症
 脳の血管が詰まって、大中小の脳梗塞が多発し、広い範囲の脳が破壊されて起こる脳の機能低下です。CTやMRI検査では、脳の様々な場所で脳梗塞巣が見られます。脳梗塞が原因なので、高血圧や糖尿病、心臓病の治療などが、この病気の予防に重要です。






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