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B)迅速診断法
 数年前から簡便にインフルエンザの診断ができるキットが一般化しました。インフルエンザが疑われる方の鼻水や喉の粘液を綿棒でぬぐい、その中に潜むインフルエンザウイルスを見つけ出します。通常15分程度で診断がつきます。キットにもよりますが、A型、B型のどちらかまで判定できるキットが主流です。これによってインフルエンザの診断がキチンとつくと、どのような治療薬を使うか方針が立ちます。ただ、このキットも100%ではなく、見落としもあります。メーカー発表では70〜80%の検出率と高値ですが、発病後の時期やどれだけしつこく綿棒でぬぐうかという事にもよっても検出率が変わるため、ザックリと概算してインフルエンザの50〜70%程度を検出できるレベルです。そのため、迅速診断法で陰性となっても、疑いが強い時はインフルエンザの治療をしておく方が得策な場合もあります。

C)インフルエンザの治療薬
 以下のインフルエンザ治療薬は、発病後48時間以内に使用しなければ効果が期待できないため、早期診断早期治療が大切です。なお、どちらも5日をめどに服用します。(最短3日程度。)
(1)ノイラミニダーゼ阻害剤(NA阻害剤)
 タミフル(内服)、リレンザ(吸入)などで、インフルエンザウイルスが増殖するのに必要なノイラミニダーゼという酵素の働きを止め、ウイルスを殺します。これらはA型、B型どちらのインフルエンザウイルスにも効果があります。
(2)シンメトレル
 市販後30年近く経つ、抗ウイルス剤です。NA阻害剤が出る前からA型インフルエンザに有効な薬として知られていました。日本では主にパーキンソン病の治療薬として使われてきましたが、5年ほど前からインフルエンザにも保険適応となり使われるようになりました。






インフルエンザ予防のための日常注意

 暖かい間はどうしても気が緩み、風邪の予防を怠りがちです。北風を感じたら冬に向かって今シーズンも気を引き締めていきましょう。
1)うがいと手洗いを徹底する
 言わずとしれた心得ですが、インフルエンザウイルスは、鼻や喉につき、その場で増殖します。そこで、ついた端からすぐ洗い落としてしまえばよいわけです。手についたウイルスも同様です。
2)部屋の湿度を上げよう
 インフルエンザウイルスは乾燥に強く、乾いた空気中に漂って次なる犠牲者を捜しています。そこで、加湿器などで蒸気を出し、部屋の湿度を上げましょう。

グリーンを置くのも良いでしょう。植物は葉っぱから水分を放出するので調湿効果があります。もちろんたっぷりと水をやっておくのが前提ですが…。洗濯物をつるす事も有効です。
3)マスクをしよう
 マスクには2つの効果があります。1つは、ウイルスの侵入を食い止める効果があること。そして、吐く息がマスクをしめらせるため、吸う息の湿度が上がり喉の潤いを保てます。マスクの網で果たしてどれだけウイルスの侵入が食い止められるかという議論もあります。しかし、SARS騒動のおりの経験から、感染症対策用の特殊マスクでなくとも、相当の対ウイルス予防効果があることがわかっています。

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