前立腺肥大

 前立腺肥大は、前述の溢流性尿失禁の代表的な原因です。前立腺はおちんちんの付け根にある、男性特有のクルミ大の大きさを持つ分泌腺です。前立腺は年齢とともに大きくなり、高齢者になると尿道を周囲から圧迫します。また、前立腺の平滑筋や膀胱の出口、尿道の平滑筋の過剰収縮も重なって、年を取るとともに尿の勢いが弱まります。チョロチョロと少しずつ出るため、小便に時間がかかるのはこのためです。肥大が強くなってくると、チョロチョロが

ポトポトになり、ついに尿閉というおしっこが出てこない状態になります。この尿閉の直前が溢流性尿失禁です
 前立腺肥大は、分泌腺細胞に加え平滑筋やコラーゲン線維が混じり合った良性腫瘍です。尿の出が悪くなる他は、癌のように転移したり命を脅かすことはありません。以前はよく手術が行われていましたが、最近はよい薬もでき、癌になったり、よほど尿の出が悪くない限り手術をすることはまれになりました。治療の第一は、ハルナール、フリバスなどのα1ブロッカーです。これらは、前立腺や、膀胱の出口の平滑筋をゆるめ、尿道を広げる働きがあります。その他、男性ホルモンの働きを抑える薬(女性ホルモン)なども使われ、これらは肥大した前立腺を縮小します。また、漢方系の薬など、昔から使われてきた物も治療の補助薬として用いられます。

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