すこやかな暮らしを応援します!

ページ1

鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第3巻2号

すこやか生活

子供の感染症と大人 

 昔、中高生がロックミュージックに熱中すると、親は「あいつも麻疹(はしか)にかかったか。」などと言いました。麻疹に限らず、おたふく風邪、水ぼうそうなどは、昔から子供が育っていく過程で必ずと言ってよいほどかかる病気でした。しかし、最近は予防接種の普及によって、必ずしも皆がかかる病気ではなくなりました。そして、世間での流行も散発的になり、予防接種を受けない人も感染する機会が減りました。このように平和な時代が続いていると、これら病気に対する免疫を持たない人も増えてきます。以前、これらの病気は終生免疫と呼ばれ、一度かかると二度とかからないと考えられていました。ところがしばらく流行しないと、一度かかった人の免疫力も徐々に弱まって、ついには体が記憶を失い、大

人になってもう一度かかる例がまれではなくなりました。15年ほど前、勤務中の病院の研修医がおたふく風邪になりました。おたふく風邪も終生免疫と考えられていたので、今まで一度もおたふく風邪に接することがなかったと仲間に思われた彼は、"箱入り息子"とからかわれました。子供の頃にやったはずだと主張する彼はもちろん不満顔でした。恐らく、一度かかったおたふく風邪の記憶を体が忘れてしまい、再びかかったのでしょう。同じような患者さんがこの冬も数名いました。45歳の男性はお子さんに、60歳の女性はお孫さんからおたふく風邪をもらったようです。子供の感染症が流行っているときは、大人だからといって安心できません。変だなと思ったら、是非、子供の病気も頭に浮かべてください。






おたふく風邪

 おたふく風邪(流行性耳下腺炎)は、唾液に含まれているムンプスウイルスが咳でバラまかれ、感染が起こります。潜伏期は2〜3週間あるので、いつもらったのかわかりません。両側の耳のした(耳下腺)が腫れますが、片側だけのこともあります。熱は3〜4日で下がりますが、腫れは一週間ほど続きます。耳下腺が腫れている間は、他の人にうつす可能性がありますので、通園や通学は腫れが完全に引いて

からにして下さい。酸味のある食べ物や、よくかまなければならない物は、唾液が出やすいため耳下腺(唾液腺)に負担をかけ痛みの原因となります。ガムは厳禁です。お粥や豆腐、プリンやスープなど、柔らかくて、かまずにすむ食べ物がお勧めです。なお、予防接種を受ける方は、集団生活を送る保育園や幼稚園に入る前に受けておくとよいでしょう。

子供の感染症と大人  おたふく風邪 | 水ぼうそうと帯状疱疹  口内炎 |
はしか>風疹  リンゴ病 | 特発性発疹と水いぼ