体幹部の臓器は、横隔膜から上が胸部臓器下が腹部臓器と大まかに区別されています。主な胸部臓器は心臓、肺、食道です。腹部臓器は、胃、十二指腸などの上部消化管、小腸、大腸(結腸)、直腸などの下部消化管。これにつながり、消化をアシストする、肝臓、胆のう、膵臓。そして腎臓、尿管、膀胱などの泌尿器。副腎。卵巣、子宮などの生殖器に含まれる臓器があります。このうち、胃、小腸、横行結腸、S状結腸は、おなかの中で、ある程度、自由に動けますが、他の臓器や部分は腹膜の裏側に固定され、動きが制限されています。自由に動ける胃や小腸などの管腔臓器は蠕動運動が活発で、食物を混ぜたりこねたり、伸ばしたり、ちぎるなど、消化・吸収に適した動きをします。このため、腹痛が出た場合、位置が変わってしまい、どの臓器か曖昧になります。その他の臓器は固定されているので、腹痛が生じた場合、おおむねどの臓器の問題か推定可能です。
 腹痛がおへその上なら胃、中央部背中側なら膵

臓、みぞおちの肋骨下縁にそった右側なら胆石など胆のう疾患、左右どちらかの腰付近なら、尿路結石など腎臓、右下腹部なら虫垂炎(盲腸)などが疑われるなど、固定された臓器の痛みは、場所的な特徴があります。動ける臓器は移動により場所が変わるので判断がつきにくいのですが、逆に痛みの場所が動くことから、ある程度、どの臓器の問題なのか推定可能です。
 "お腹を壊す"と、表現されるのは、下痢や腹痛、気持ち悪さ、おう吐などの症状です。一つ一つの症状を個別に考えることも大切ですが、その他の症状を含め包括的に判断することが大切です。このあたりの判断は、医師でも難しい場合もあり、超音波や
CT、内視鏡などの助けを借りなければできないこともしばしばです。お腹の病気は単純ではないため、自己判断は禁物です。

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