すこやか生活

心不全を概観する

 血管を通して血液を全身に送るポンプの働きをしている心臓が、様々な原因でその機能を失い、血液を滞りなく送ることができなくなる状態が心不全です。この心不全には、心筋梗塞などによって突然起こる急性心不全と、心臓弁膜症や心筋症がベースにあり、徐々に心機能が落ちてきて少しずつ症状が出てくる慢性心不全があります。また、慢性心不全を持つ方が、インフルエンザ等の感染症などをきっかけに急激に悪化する、慢性心不全の急性増悪という場合もあります。救急治療が必要な心不全の多くは、実は急性心不全より慢性心不全の急性増悪の方が圧倒的に多いのです。最近は、高齢になり長期に渡る高血圧、慢性腎臓病、糖尿病、動脈硬化、肥満など、メタボリックシンドローム関連の疾患や、老化に伴う体の変化によって起こる心不全が増加してきており、基礎疾患としての心

臓病を持っていなくとも油断出来ません。今回は主に、日頃自宅で過ごしている間に少しずつ進む、慢性心不全にスポットを当てて眺めてみましょう。
 さて、心不全といえどもよほど重症な方を除いて、日常生活の工夫と上手な治療で進行を遅らせたり、急性増悪による入院や死亡を回避する事が可能です。
 心臓では体から
右心系へ戻った静脈血を肺へ送り、酸素を取り込んだ動脈血左心系が全身へ送ります。この働きが滞ると、①循環不全による体の酸素欠乏・栄養不足
②水分の輸送が滞り、あちこちに溜まる
 の2つの現象が起こります。次に述べる心不全の症状は、概ねこの2つの現象の体の各部の症状として説明出来ます。従って体の各場所で、①、②のイメージを浮かべれば心不全の兆候に気づくのも容易です。






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