腎臓:腎臓は腎不全のように機能が低下する場合、ほとんど萎縮します。ところが、腎臓に場所を占拠するものができれば別です。まずは、常染色体優性遺伝で遺伝する多発性のう胞腎。これは腎臓に無数ののう胞と呼ばれる水分の入った袋ができる疾患で、のう胞に正常な腎臓織が置き換わられ、十分な腎機能が果たせません。大きさは、10倍以上にもなります。肝臓ものう胞だらけになることも多く、二重にお腹がパンパンにふ

くれます。腎臓ガンも腎臓が大きくなりますが、のう胞腎のように、お腹を占領するほどガンが膨らむことはありません。
膵臓:元々、体積の小さな実質臓器なので、ガンができてもお腹が膨らむほどの体積にはなりません。腸を動かす神経が近くを通っているので、そこへ炎症が及ぶと痛みや、腸運動のマヒによって、前述のマヒ性イレウスになる場合があります。


膀胱に尿が溜まっている場合

 尿閉と言われ、膀胱から尿の出口の間の尿管の通りが悪くなっている場合で、ほとんどが高齢者男性の、前立腺肥大や前立腺ガンが原因です。前立腺は膀胱の出口にあり、尿管を取り巻くように存在しているので、肥大してくると外側から管を締め付けます。また、前立腺肥大が比較的軽くても、風邪薬や鼻炎薬に含まれる抗ヒスタミン剤や、抗コリン剤で膀胱括約筋が収縮し、急に尿が出なくなる場合がありますので、尿が出にくくなったら服用中の薬を確認する必要があります。該当する可能性のある薬は、主治医と相談の上、中止あるいは用量を減ら

します。薬の効果が切れれば尿閉の副作用も消滅します。膀胱にどのくらい尿が溜まっているか、前立腺の大きさはどのくらいか、膀胱に腫瘍ができているかなどは、超音波検査で概ね知ることができます。お腹がぽんぽんになって苦しかったり痛い場合は、応急処置として、チューブを膀胱へ入れて尿を出す導尿が行われます。尿閉が続くと膀胱炎から腎盂炎に進む場合があります。こんなときは、大腸菌などの雑菌を退治する、抗生物質の内服や点滴・注射が行われます。

お腹が張る主な原因とは? | 胃や腸管が膨らんでいる場合
実質臓器の肥大・体積の増加
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