胃や腸管が膨らんでいる場合

1)胃が膨らんでいる場合
 基本的に、食べ物、飲み物そして、空気を飲み込んで膨らんでいる場合が中心です。食べ過ぎ、飲み過ぎはご自分でわかるでしょうが、意外と気づいていないのが空気を飲み込んでいる場合です。飲み込んだ空気は、肛門からガスとして出る以外にも、ゲップとしてあがってきます。ゲップがよく出る方は空気を飲み込みやすい可能性が高いと考えられます。
2)腸が膨らんでいる場合
 3)の腸閉塞は腸だけ膨らむ場合もありますが、進むと胃も膨らみます。腸だけに問題が起こるものの代表は腸炎です。ノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス性腸炎は吐き気もあるものの、病気の主な場は腸です。ウイルスによる腸炎で、腸内の環境が変わると、腸内の常在菌の組成や数も変わります。このため腸内の発酵菌が増えると、ガスの発生も増えて、お腹がパンパンになります。もちろん、腸壁から内腔へ水分がしみ出し腸内が水浸しになってお腹が張る原因になります。これは、下痢として出てくるので張るのは一時的です。

3)胃も腸も膨らんでいる場合
 腸のどこかで管がつまっていて、食物や便が先に進まない場合です。腸閉塞(イレウス)と呼ばれる状態です。大きな大腸ガンによって腸の内腔がつまったり、お腹の手術の癒着などで、腸管が引っ張られたりねじれたりして通過障害を起こす癒着性イレウスなどがよく見られます。後者は経過観察などで自然に解消することが多いのですが、前者は手術でつまっている場所を取り除かなければなりません。
 胃腸に通過障害を起こす目に見える問題が無いのにつまってしまい、胃も腸も膨らんでお腹が張ることもあります。よく見られるのは、頑固な便秘や、向精神病薬などの薬の影響で、胃腸を動かす神経がマヒしてしまい、食物・便を肛門方向へ進める蠕動運動が起こりにくくなっている場合で、マヒ性イレウスと呼びます。これらは、胃腸の聴診をすると、動きが悪く、ゴロゴロという音がしません。






実質臓器の肥大・体積の増加

や胃ガンからの転移が主です。その他、遺伝性の多発性のう胞腎で、肝臓にのう胞ができるタイプの方もいます。肝臓全体に水ぶくれが多発するため、肝臓の体積が激増し、正常の肝臓の数倍にも膨らみます。
脾臓:血液細胞の最終処理を行っている場所なので、処理しなければならない血液細胞が増える白血病などの血液疾患で、脾臓は肥大します。特に白血球の数が正常の数倍から数十倍になってしまう、慢性骨髄性白血病などの骨髄増殖性疾患で、著明に脾臓の体積は増大します。その他、肝硬変などの門脈圧が上がる疾患でも脾臓は肥大し、機能亢進の状態になります。

 お腹の中の実質臓器とは、肝臓、脾臓、そして後腹膜でにある腎臓、膵臓などの、管腔構造をとらず、細胞がみっちりつまってできている臓器達です。臓器ごとにまとめましょう。
肝臓:もっとも一般的なのは、各々の肝細胞に脂肪が蓄積し、一つ一つの細胞が大きくなり、その結果、肝臓全体が肥大し体積が増加する脂肪肝です。その他、慢性肝炎やアルコール性肝炎などでも肝臓に炎症細胞の浸潤があったりむくみがでて、腫れて体積が増加し、お腹が張った感じがします。次に多いのが、肝細胞ガンや転移性肝ガンです。転移性肝ガンは、主に門脈経由でガン細胞が転移するのが一般的なので、大腸ガン

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