すこやか生活

セキの役割と出るしくみ

 セキははく息の一種です。呼吸は吸気(吸う息)と呼気(はく息)の一連の自然な動作の繰り返しです。人は必要に応じて無意識に、運動時に深い呼吸をしたり、睡眠中や休憩中には浅い呼吸をしています。鼻がつまっていない限り、空気の出入りは、鼻から、喉、気管、肺とのルートで出入りします。口から入る食べ物は同じく喉を通り、食道へと運ばれます。喉のところで空気と食物は交差し、間違って食べ物が気管に落ち込まないように、喉頭蓋が、食べ物を飲み込んだとき、のように動いて気管の入り口をフタします。空気は基本的に喉から気管へ入りますが、鼻づまりで口で呼吸している場合では、食物と同じのルートで食道へ飲み込み、胃に至ってお腹がふくれます。飲み込んだ空気は、ゲップやおならの原因になることもあります。
 さて、喉頭蓋が食道と気管の振り分けをしているわけですが、この振り分けに支障が生じたり、鼻腔から

空気以外のものが落ちてきて気管に落ち込むと、体は反射的に勢いよくこの異物を吹き出そうとします。この異物を吹き出し体を守る動作がセキです。具体的には、間違って吸い込んだ米粒をはき出したり、吸い込んだ鼻汁をセキで出すのが典型です。気管や気管支に慢性的な炎症が起こり、イガイガした違和感が引き金になったり、肺の末端側から出てくるタンを出すためにセキをすることもあります。前者はぜん息、後者は肺炎や肺ガンのセキが該当します。この場合のセキは、気管支を広げたり、細菌を含んだ膿を肺から出すことがその目的です。
 セキはこのように、呼吸に大切な臓器の肺を守っています。このため、咳止めでむやみに止めると、丸腰の肺はひとたまりなくやられてしまいます。従って、セキが出てつらいときは咳止めで抑えるのではなく、セキの原因を突き止め、元から絶つのが正攻法の治療です。






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