鎌倉市大船 山口内科 

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脳の構造と機能

 とっても大きなテーマになってしまいましたが、わかりやすくザックリと説明していきます。頭のてっぺんに、大脳、その中心には上から順に、脳室、大脳辺縁系、間脳、基底核、下に向かって脳幹(中脳、橋、延髄)、その後に小脳、そして頭蓋骨から出て首から下の脊髄へと繋がっています。これらをまとめて、中枢神経と呼び、そこから電線のように出てくるのが末梢神経です。末梢神経には、脳(主に脳幹)から出て、頭蓋などに分布する脳神経と、脊髄から出る脊髄神経があります。
 大脳は、真ん中から前が手足などの動きを司る運動野、後側が末梢神経が拾った情報を感覚として感じる感覚野です。視覚や聴覚もこの一部として存在します。運動や感覚は、非常に複雑に絡まりあっており、ある出来事を感じ取ったら、それに対してスムーズに対応するため、単純な運動を指示する場所だけでなく、過去の記憶をたどったり、感覚情報をまとめてどうしたら上手く動けるか、体の各部分の総力を結集させるための運動の司令塔も、大脳に含まれます。大脳による筋肉運動の指令は、錐体路と呼ばれるメインルートに乗り、下降します。物事を考えるのも、様々な情報を統合して処理する大脳の重要な機能の一つです。

 間脳には、視床や視床下部、下垂体など、末梢の感覚情報を大脳の感覚野に伝える中継点や、ホルモン分泌によって体調を整える恒常性維持のセンターがあります。  
 運動の情報は脳幹(上から中脳、橋、延髄)、脊髄、末梢神経、筋肉と伝わりますが、途中の基底核小脳で情報のやり取りをして、よりなめらかな動きになるように運動情報が洗練されます。つまり、基底核小脳は、体の動きがギクシャクしないように整えるために存在しています。基底核による錐体路の動きの調節は、錐体外路とも呼ばれます。間脳や、基底核の周囲には大脳辺縁系と呼ばれる、本能行動や記憶を司っている部分があります。これらは大脳と連携を取りながら、
自然に有効な行動を行うのに役立っています。
 脳幹は、脊髄同様に運動情報が下るルート、感覚情報が上るルートという中央分離帯をもつ情報の高速道路であるだけでなく、動物として最低限生きていくのに必要な行動を操っています。呼吸や心臓の運動、血圧の維持、消化管の運動や消化吸収といった自律神経系の司令塔として機能しています。このため、脳幹がやられてしまうと、人工呼吸器を使わないと生きていけない、いわゆる植物人間の状態になります。
 以上、駆け足で脳の各部分の働きを簡単にまとめましたが、脳梗塞、脳出血、脳腫瘍などである部分が壊れると、そこが担っている機能が失われます。半身麻痺などは、運動野や、運動情報を伝達する神経線維の束(錐体路)が犯された結果です。
(大脳の中央部はだいたいの位置だけ図示しました。)






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