痛風発作が起こるメカニズム

 血液中の尿酸が増えると、関節内へあふれ出ます。関節内で尿酸が増えると縫い針のような尖った結晶ができます。この針が刺さったり、針を食べるなど処理しようと出動してきた白血球から関節炎の原因となる化学物質が分泌され炎症が起こります。炎症とは具体的に示すと、赤く、はれて、熱を持ち、痛むことです。まさに痛風は炎症の典型です。炎症を起こす化学物

質は様々な白血球で作られる、IL-1β、TNF-αなどが有名で、リウマチ性関節炎の原因化学物質と共通なものもあります。このため、難治性の関節リウマチで使われる、高価な分子標的薬が効くとも言われていますが、リウマチと比べて痛風の炎症は幸いに一時的なので、一般的な抗炎症剤(NSAIDs)で十分治療可能です。

痛風治療の基本戦略

1)発作が起こった時
 赤く、はれて、熱を持って痛んだ場合は、NSAIDsと呼ばれる抗炎症剤(痛み止め、熱冷まし)が特効薬です。インドメサシン(インテバン、インフリー)、ナイキサン、ニフランなどが保険適用薬です。ロキソニン、ボルタレンなど他の消炎剤も効果があります。
 治療のコツは
早めに、強めに、徹底的にです。はれて痛んだら、できるだけ早期に、少し強めにNSAIDsを服用し、全く痛みが消え、腫れが引き、炎症が完治するまで長めに服用を続けましょう。なお、治療が遅れ炎症がNSAIDsだけで治まらない場合は、少量のステロイドを短期間使うこともあります。幸いリウマチと違い痛風発作は一時的な関節炎なので、ステロイドの長期的使用による副作用は心配ありません。

2)発作がおこる予感がする場合
 紀元前に医聖ヒポクラテスは、イヌサフラン(コルチカム)という花の球根が痛風の治療に有効であると記しました。以後近年まで、コルチカムから抽出したコルヒチンは痛風治療の特効薬として使われ続けてきました。しかし、効果が弱いため、NSAIDsに治療の主役を譲り、現在は、治療薬としてはほとんど使われていません。
 しかし、親ユビの関節がムズムズするなどの前兆に引き続き発作が出る方は、
前兆の間にコルヒチンを服用すると発作が予防できる場合があります。ヒポクラテスという名に医者が弱いためか、未だに使われているのは驚きですが、よきモノは時を越えて生き残る代表なのかもしれません。






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