多いため季節性の流行が起きます。(右下) 新型インフルエンザが冬に流行したらどのようになるでしょうか? 3x3=9が、左下のように6x6=36となります。これが現在南半球で起こっている感染の拡大です。感染拡大が急速なことに加えて、季節性と比べて新型インフルエンザの毒性が強いため、南米各国、オセアニアでは大きな問題となっています。今後秋から、冬を迎える日本はこれらの点を踏まえた対策が必要です。

2)免疫がないと冬でなくとも流行する
 夏は1人が3人にうつすとします。ほとんどの人に免疫が無い感染症(H1N1)は次から次へと広がります。(左上) 季節性インフルエンザでは免疫を持つ人が多いので、夏には患者が増えず横ばいです。(右上) 冬はウイルスが住みやすい環境なので、1人の感染者が6人にうつすとします。このため一部の人に免疫があっても、発症者の総数も






●免疫が無く発症 ○免疫があり、感染する  
         が
発症せず次へ広がらない

新型インフルエンザは何が問題か?

 "季節性と同等、弱毒性、日本では重症例が出ていない"とマスコミが報道し、安堵感が広まりました。しかし、国内死亡例も出始め、蔓延国を中心に世界の死亡者が急増しています。新型インフルエンザには持病の悪化の他、2つ重症化があります。
1)肺炎と急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
 季節性インフルエンザはウイルスがノドと鼻など上気道にとりつき炎症を起こしますが、H1N1ウイルスはこれに加え、気管支の奥〜肺までウイルスが入り込み、肺炎を起こ

します。それも、一般の細菌性肺炎と異なり、肺炎は一部に留まらず、1日〜2日という短時間に急速に両側の肺全体へ広がります。肺全体が肺炎になると酸素を血液中に取り込めなくなり、一気に呼吸不全に陥ります。これがARDSと呼ばれる急性呼吸窮迫症候群です。ARDSに至ると、酸素吸入では呼吸が追いつかず、人工呼吸器を装着せざるを得ません。ウイルス性肺炎が主なのでタミフルなどを使いながら呼吸の管理をします。細菌性肺炎併発を予防・治療す

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