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新型インフルエンザの実情

1)中等度毒性である?
 強毒性の鳥インフルエンザ、弱毒性の季節性インフルエンザと2者択一なら弱毒性に近いです。感染者死亡率が5割を越える鳥インフルエンザほど危険ではありません。風邪をこじらせて命を落とす可能性のある乳児や高齢者は別として、H1N1では少・青・壮年層が多数死亡しています。季節性インフルエンザでは、このようなことはありません。過去のパンデミックの死亡率はスペイン風邪1〜2%(1918年)、アジア風邪0.5%(1957年)、香港風邪0.2%(1968年)程度で、H1N1は香港風邪と同程度以下の死亡率と思われます。しかし、スペイン風邪の時代は抗生物質が無く、合併した細菌性肺炎でどんどん亡くなりました。アジア風邪、香港風邪の時代は抗生物質はありましたが、酸素吸入や人工呼吸器での治療は行き渡っていませんでした。もちろんタミフルもありません。これらを総括するとH1N1の本当の毒性はスペイン風邪に近いのかもしれません。
 インフルエンザによる肺炎や急性呼吸障害に対して、抗ウイルス剤や抗生物質に加え人工呼吸器を使っても若い人が死亡するという事態は、季節性インフルエンザと同等ではありません。ヨーロッパCDCでは下図のように表現しています。強・弱2者択一でなく、中等度毒性という表現も出てきました。これが真実なのでしょう。

 4月末のGW直前に、世界を不安に陥れたH1N1型新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)は当初、メキシコ、アメリカ、カナダの北米3国から、イギリスなどヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドなど、アメリカと関係の深い国々へ伝播しました。また、冬を迎えているアルゼンチン、ブラジルなど南米各国では猖獗(しょうけつ)を極め、公式発表ベースでアメリカに迫る死亡者数がでています。(8月19日現在アメリカ477名、アルゼンチン386名、ブラジル339名)真夏のアジアでも、タイで111名、マレーシア64名、先進国の一角であるシンガポールでさえも10名亡くなっています。日本でも8月5日大阪で、重症化ではないが、3歳の新型インフルエンザ感染者に人工呼吸器を使ったとの発表がありました。痰がつまったことによる、無気肺との説明でしたが、実際のX線写真が提示されていないため真実は不明です。8月16日、ついに初の死亡者が出て、以後は続けざまです。これから日本でも確実に広がり、国民の3〜4割が今後一年間に感染するとされるパンデミックです。すでに流行中の諸国では臨床経験、社会経験が少しずつ発表されています。これらの情報から新型インフルエンザの真実に迫ることが今月の主題です。






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