(2 ページから続く)
抑制がかかった場合、甲状腺腫瘍などの手術で甲状腺の大部分を切

除した場合などです。表の症状のいくつかが当てはまるようなら要注意です。

表1:甲状腺ホルモンの過不足による様々な症状

バセドウ病の特徴と治療

 バセドウ病は、甲状腺ホルモン分泌過多の代表的な病気です。抗TSH受容体抗体という物質が体内にできる事が原因の一端を担っているようです。この抗体は、下垂体から分泌されるTSHが甲状腺に作用する受け口(受容体、レセプターと言われる。)にくっついて、TSHと同様に甲状腺を刺激してしまい、甲状腺機能が亢進すると考えられています。甲状腺は多量のTSHに踊らされているという錯覚に陥るわけです。TSHはホルモンが過剰なため負のフィードバックがかかり減少しています。
(主な検査所見)
1)甲状腺ホルモンは増加 F-T4↑F-T3↑
2)TSHは負のフィードバックで減少
      TSH↓
3)甲状腺受容体(レセプター)抗体の増加
    TRAb↑

4)サイロイドテスト(Tg抗体)、マイクロゾーム抗体(TPO抗体)陽性のこともある
(治療)
薬物療法
--どちらかの抗甲状腺薬(メルカゾール又はプロパジール)を服用します。最初は一日あたり3〜6錠からスタートし、血液中のホルモン量が正常化したら減量します。一般に維持量として一日あたり1〜2錠程度を長期間続けていきます。ホルモン量が正常値内に数年間保つ事ができ、TRAbが消えてくれば、抗甲状腺薬を中止する場合もあります。
放射性ヨードの内服
--甲状腺に集まりやすいヨードのうち放射能を持つものを内服し、甲状腺を細胞レベルで焼き殺す治療です。
手術
--甲状腺の大部分を切り取り小さくしてホルモンをコントロールする。






甲状腺機能亢進を起こす紛らわしい病気
A)亜急性甲状腺炎---ウイルスによって甲状腺が破壊され、多量のホルモンが血液中に漏れ出る。甲状腺の痛みや熱が特徴。
B)無痛性甲状腺炎
---橋本病の自然経過の途中で一時的に甲状腺が激しく壊れ、ホルモンが血液中に漏れ出てホルモン過剰になる。

以外に多い甲状腺疾患 甲状腺ホルモンの基礎知識 | 甲状腺ホルモンの過不足と症状 |
バセドウ病の特徴と治療
| 橋本病の特徴と治療 甲状腺癌