自律神経を支配する物質と薬

 自律神経経路の途中では神経伝達物質というホルモンのようなものが分泌され、これが各々の神経特有の働きを決めます。交感神経はアドレナリン、ノルアドレナリン、副交感神経はアセチルコリンという物質が中心です。交感神経系にはアルファ(α)、ベータ(β)という作用部位(レセプター)があり、どちらに伝達物資がくっつくかによって働きが少し変わります。自律神経のバランスを変えるためには、この神経伝達物質を増やしたり減らしたりするか、レセプターと言われる作用部位をふさいだり(ブロック)、刺激したりします。アドレナリンなどそのものズバリも医療の場で薬として使われますが、非常に強力で使い方が難しいため、もう少しマイルドな物質が薬として使われています。
α-ブロッカー:ミニプレス、ハルナールなどで、前者は高血圧治療薬、後者は前立腺肥大による排尿障害に使われます。
β-ブロッカー:テノーミン、インデラール等。心臓の働きを鎮めるため、高血圧や動悸、不整脈の治療に用いられます。

β-刺激剤:メプチン、ホクナリンなど。気管支を広げるため、喘息の治療薬として使われています。
アドレナリン、ノルアドレナリン:強力な伝達物質そのもの。様々な局面で最終手段として用いられます。例えば喘息発作で何を使っても良くならない時や、心臓発作でショック状態に陥っているときなどです。
抗コリン剤:ブスコパン、アトロピンなど。副交感神経のアセチルコリンの働きを抑えます。胃腸の働きを止め唾液の分泌を抑えるため、腹痛、下痢、胃カメラやバリウム検査の時に使われます。腹痛は、胃腸だけでなく、胆石、尿路結石の時にも有効で、下痢は過敏性大腸症候群などの時もよく効きます。また、比較的強力で即効性があるため、血圧が下がって軽いショック状態になったときなどに使われます。眼科では、瞳を開く働きを利用して、眼底検査の前に点眼します。






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