体内時計と体のリズム

 人は地球の自転に伴う24時間を、睡眠と日中の活動に割り振り、上手に活動を行っています。このリズムは、体内に時計があって作られていると考えられてきました。この10年間、遺伝子の研究が進み、様々な体内時計遺伝子が発見されました。この遺伝子は人や高等動物だけでなく、植物、細菌に至るまで広く存在し、基本的な時計のメカニズムは共通であることがわかってきました。地球で生命活動が始まって以来、綿々と築き上げられ受け継がれてきた時計なのでしょう。基本的な仕組みは図1の様な感じです。体内時計遺伝子はまず光などの時間に関係する情報を受けます。光は目で、食事は胃腸で、そして運動は筋肉や心臓などで刺激を受け取ります。この中でもっとも重要なものは光です。この情報が脳の視交叉上核にある時計の時刻を同調させます。この時計はほぼ正確に時を刻んでいますが、少しずつずれることもあるため、時

報に合わせて自動的に時間が合う時計と同様、日照にあわせて時刻がリセットされます。この体内時計は普段あまり狂うことがないため、光刺激だけですぐに大きくリセットできるわけではありません。これがいわゆる時差ぼけです。
 さて、この時計の発振は脳の各部位に伝わり、ホルモンの分泌などを促し、睡眠、摂食、運動など様々な活動リズムが作られます。24時間で一回転する生活リズムはサーカディアンリズムと呼ばれ、脳の視交叉上核を破壊するとこのリズムは失われます。サーカディアンリズムは人だけのものではありません。毛利衛さんがスペースシャトルに持参したアカパンカビは、90分で地球を一周する昼夜のリズムに反応せず、自律的に24時間周期の活動をしたそうです。自然周期に抗うことなく、我々も明るい春に体を同調させていきましょう。






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