不整脈の治療 心房細動

 不整脈は、動悸などの不愉快な症状を起こすだけでなく、実際に血液の規則正しい流れを乱し血流を滞らせます。脳血管の流れが悪くなると、意識が薄れ失神します。また、流れがよどんだ血管や心臓の中には、血の塊(血栓)ができて、脳、心臓、肺など様々な重要な臓器に流れていって詰まります。脳梗塞、心筋梗塞、肺梗塞などがこれで、これらの臓器は傷み、機能を失います。このような脳の循環不全や、血栓による臓器障害を防ぐことが不整脈治療の目的です。

1)抗不整脈剤
 代表的なものはリスモダン、メキシチール、テノーミン、ワソラン、ジゴキシンなどです。おのおの有効な不整脈は違いますが、心臓の突発的な興奮性を抑え、リラックスさせることで不整脈の発生を予防します。基本的に毎日定期的に服用して予防する薬ですが、危険な不整脈や頻拍発作が起こったときに使用して、応急処置的に止める薬剤も含まれます。
2)血栓の予防
 血液をサラサラにする薬を用います。アスピリン(バッファリン)やパナルジン、ワーファリンなどです。人によっては強い出血傾向が出ることがあるので、効きすぎに注意し、歯を抜くときなど出血することが想定されている場合は、一週間前から薬を休むなど気を配って使います。


心房細動

 心房細動は規則正しいリズムをとっている洞房結節からの指令でなく、心房が震えそこから細かい不規則な指令が出るためそれを拾った心室が全くバラバラに拍動する不整脈です。
 図A、Bは規則正しい心拍と心房細動の心拍です。正常なリズムの心拍では、規則正しい心臓の拍動(実線)によって、ドッドッドッと充分でほぼ同量な血液が、大動脈そして全身へ送り出されます。ところが、心房細動によって不

規則な拍動になると、前の拍動から充分間のある次の拍動ではたっぷり血液が全身へ送られますが、間隔が短いときは空振りのような拍動になり、血液はほとんど送り出されません(点線)。 規則正しい心拍では、青の実線ばかりなので充分な血流が有効に送られます。ところが心房細動では、心臓が動いている割には空振りが多く、血液は充分送り出されません。従って心臓の機能不全つまり心不全になりやすいのです。また心房細動では、心房内に血栓ができやすいため、それが脳や様々な臓器に飛んで詰まりこれらを破壊します。脳梗塞(脳血栓)はその代表です。治療としては、規則正しい心拍に戻す電気ショック(除細動)、そして抗不整脈剤も使用されます。そして、心房細動から規則的な脈に戻ればしめたものですが、戻らないこともよくあります。この場合は、血栓の予防が中心になります。足がむくむなど心不全の傾向があれば、その治療も必要です。

A)規則正しい心拍

B)心房細動

充分な血液量の拍出

不充分で空振りのような心臓の拍出

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