鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活第21巻7号

すこやか生活

高血圧の考え方

要な動力です。また、血管から血管外の細胞などに水分や栄養などの物質を押し出して送るために欠かせない動力になっています。つまり、血圧が低いと栄養などの体に必要な物質が行き渡らず命を保つことが困難になります。心不全が典型で、血圧が下がりすぎ身体機能を維持できません。一時的に体調が崩れ血圧が下がるようなときには、交感神経が作動して血圧を上げ、何とか生命を維持しようと体は頑張ります。このため、突然の病気で病院を受診したときなどは血圧が上がっていて驚くことがあります。また、薬で血圧が下がりすぎると、脳へ血液が行かずフラフラします。
 逆に高い場合は、少し高いぐらいでは自覚症状は出ません。高血圧が長く続くと、脳卒中(脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血)や心臓病(虚血性心疾患等)、腎臓病(腎硬化症)、解離性大動脈瘤など危険な疾患を誘発します。この危険を回避するために、血圧が高いと治療で下げて行くことが必要となります。

 一口に高血圧と言ってもピンと来はずもなく、単純に怖がる必要はありません。血圧は、心臓が血液を押し出す力と、血液を受ける動脈の血管の抵抗で作られます。心臓が血液を強く押せば上がり、力が弱いと下がります。血管が硬ければ力をもろに受け圧が上がります。逆に、柔らかく圧を受け止めて広がって力を逃がすことができればあまり上がらずに済みます。端的に言うと、心臓の機能が弱ると血圧が下がり、血管が動脈硬化で硬くなると血圧が上がります。このほか、血圧を上げる様々なホルモンの働きも関係があります。腎機能が落ちてくると分泌量が増える、レニン、アンジオテンシン、アルドステロンなどのホルモンが増えると血圧は上がります。また、バセドウ病などで甲状腺ホルモンが増えたり、交感神経系のアドレナリンなどが増えると血圧が上がります。逆にエストロゲンなどの女性ホルモンは血圧を下げます。
 さて、血圧自体は圧の低い毛細血管へ血液を送るため重

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