腎臓には様々な病気があります。ここでは慢性の病気を中心に代表的なものを説明します。
1)慢性腎炎
 いわゆる腎臓病の代表がこれです。一口に慢性腎炎といっても様々なタイプや病因があり、程度、進み方など、ひとくくりにはできません。しかしあえてまとめますと、糸球体が壊れ、ろ過機能が落ちたり、尿細管が傷み、再吸収機能が悪くなる病気の総称で、徐々に進行してゆくものです。顕微鏡で見ると、フィルターとしての糸球体にタンパク質のカスが貯まり目詰まりしています。根本的な治療はありませんが、フィルターの目詰まりを防ぐために、血液をサラサラにする抗凝固剤を服用したり、原因となる免疫異常を抑えるために、ステロイド剤を使ったりします。経過中に、次に示すネフローゼになったり、進行すると、腎不全になります。数年前までは、人工透析になる人の半数以上が慢性腎炎の方でした。
2)ネフローゼ症候群
 ネフローゼは蛋白尿がたくさん出る状態の総称です。原因は様々です。一日あたり3.5g以上の尿蛋白が出るため、体の中のタンパク質が減ります。血液中のタンパク質が減ると、血管内に水分を保持することがで

きなくなり、血管から水が外にしみ出してむくみます。慢性腎炎、糖尿病、膠原病など様々な原因があります。重症な妊娠中毒の時もこの状態になります。治療は原因によりますが、抗凝固療法とステロイドがよく用いられます。
3)糖尿病性腎症
 糖尿病人口の増加に伴い、近年とみに多くなった腎臓病です。最近では、慢性腎炎を追い越し、人工透析に陥る病気ナンバーワンになりました。糖尿病のコントロールが上手にできていれば、腎症になることはありません。糖尿病の治療をおろそかにした結果ですので、糖尿病の治療を見直すことが大切です。糖尿病の方に蛋白尿が出始めたら要注意です。徐々に腎症になってきた証拠ですので、軽く考えずに、糖尿病に前向きに取り組み直してください。それ以上悪化させないためにも。
4)腎不全(尿毒症)
 様々な腎臓病の最終段階です。腎臓の機能が不十分なので、人工透析で体内から、毒物や水分、塩分をこしださなければ生命を維持することができません。初期であれば、活性炭(クレメジン)を服用し、腸から尿毒素を吸い出すこともあります。また、腎移植が行われることもあります。











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