治療とスギ花粉症

 地球温暖化のせいか、年々スギ花粉の飛散量が増しているようです。今回は、スギ花粉症を材料にアレルギーの治療をまとめてみます。前ページの図と照らし合わせながら読み進めてください。
1)アレルゲンの除去
 スギ花粉に感作されてしまっていたら、それを吸い込まないことです。マスクをして、吸い込むのを防いだり、干した布団は良くはたいて、花粉を家に入れないようにします。喘息に対してはダニ対策やペットの飼い方を工夫する事も重要になります。食物アレルギーなら、原因食品が特定できれば、それを食べないことです。
2)抗ヒスタミン剤
 主な化学伝達物質である、ヒスタミンの作用を押さえ、アレルギー症状を軽減します。これは、ヒスタミンの作用部位にくっついて覆い、好塩基球から分泌されたヒスタミンを宙ぶらりんにして働かないようにします。即効性があり、主に飲み薬として用いられますが、注射薬、塗り薬なども使われています。眠気を起こしやすい薬ですが、最近は眠気がほとんどないものも開発されています。
3)抗アレルギー剤
 抗ヒスタミン作用以外のルートを止めてアレルギー反応を防ぐ薬の総称です。好塩基球からの、化学伝達物質の分泌を押さえる薬がほとんどですが、分泌されたヒスタミン以外の物質を抑えるものもあります。また、抗ヒスタミン作用を併せ持つ薬、抗ヒスタミン作用が主な抗アレルギー剤もあります。抗アレルギー剤は、即効性が無いため、花粉症では花粉が飛散する2週間くらい前から服用して

おくと、ひどくならないで済むとされています。飲み薬の他に、点鼻薬、点眼薬、吸入薬などもあり、比較的軽いアレルギー症状や、ステロイド剤その他とも併用されます。
4)副腎皮質ステロイド
 化学伝達物質であるロイコトリエンやプロスタグランディンの産生を抑えたり、Tリンパ球の働きを抑え、好酸球が関与するアレルギー反応を軽減するなど、様々な抗炎症作用を持ちます。飲み薬は長期に使用すると、様々な副作用が出るため、最終手段として用いられています。最近は、体内に入ってもすぐ分解され、副作用のほとんど出ないステロイドが開発されました。花粉症では点鼻や点眼で、気管支喘息では吸入薬として、中等度以上なら積極的に使われています。特に、花粉症では、1〜2ヶ月程度の使用なので、ステロイドの点鼻薬をあまり神経質にならずに使用してください。気管支喘息でも、吸入ステロイドが治療の中心として定着してきました。軟膏もかぶれなどでは、短期なので特に心配ありませんが、アトピー性皮膚炎などでは長期になるので慎重に使いたいものです。
5)免疫抑制剤
 CyA(サイクロスポリンA)FK506(タクロリムス)などです。Tリンパ球から好酸球のルートを抑え、様々なアレルギーに効きますが、新しいタイプのもので副作用も未知であることから、現在FK506がアトピー性皮膚炎に用いられているだけです。
6)減感作療法
 少量のアレルゲンに慣らしてゆき、感作の状態から脱却する方法です。 


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