橋本病とバセドウ病

 橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれます。慢性的な炎症を起こしているため、甲状腺全体が腫れぼったくなり、初期はホルモンバランスが保たれているものの、次第に甲状腺の分泌機能が燃え尽きて、機能低下症を起こします。実際に機能低下症のほとんどがこれです。長年の炎症の間には、急速に甲状腺が破壊され、一時的にホルモンが血液中に放出され、機能亢進症のような症状をきたす時期もあります。この場合はバセドウ病と同様な症状がでます。しかし最終的には甲状腺が燃え尽きるため、低下症になっていきます。橋本病には今のところ、根本的に治す治療法はありません。したがって、甲状腺ホルモンが多い場合は、一時的に機能亢進症に使われるメルカゾールやβ-ブロッカーを使います。ホルモンのバランスがとれているときは、定期的なホルモンのチェックだけで結構です。ホルモンが不足してきた場

合は、チラージンSという甲状腺ホルモンの錠剤を服用し体内のホルモンを補っていきます。
 バセドウ病は、甲状腺機能亢進症を起こす病気の代表です。甲状腺がやや堅めに腫れて、前述のホルモン過剰による症状を来します。バセドウ病の治療は、体内のホルモン量を減らして適量に維持することを目標とします。メルカゾールなどの抗甲状腺薬を飲むのが一般的ですが、手術や放射線療法もあります。なお、放射線療法、手術ともに完治するとは限りませんので、ぶり返す兆候がないかどうか、時々ホルモンバランスを見ていくのが良いでしょう。また、ホルモン過剰によって起こる動悸(心臓頻拍)、眼球突出その他、様々な全身症状をきたしますが、これらはホルモンバランスを適正化することと平行して、別途、治療していきます。


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