失神は、一時的な意識喪失です。気絶なども類似語ですが、原因も様々です。一番ポピュラーなものは、起立性低血圧など一過性に脳の血流が低下し、脳の機能全般が瞬間的にストップしてしまうものです。多くは自律神経(副交感神経)の過剰な反応で、血圧の低下とともに心拍数(脈拍)も下がり、ダブルパンチで脳の循環が低下します。脳の機能低下が起こると、意識のほか、運動神経の働き、感覚神経の働きがともに止まり、倒れてしまったり、呼び声など音が聞こえなかったりします。ふつうは数十秒から数分で回復し後遺症は残りませんが、そのときの記憶は無く、失神の始まりの時の、目の前が真っ暗になったり地の底に引き込まれるような感覚が記憶として残こる以外は、それ以降のことを全く覚えていません。
 誰にでも起こりうる失神は、起立性低血圧や、迷走神経反射(副交感神経)のパターンです。お風呂上がりにのぼせたり、迷走神経反射は、排便やおう吐で胃・腸が大きく動いた場合によく起こります。
 時々見られ危険なものは、心臓からくる失神です。心臓は全身に血液を送るポンプなので、仕事が急に滞ると脳の血流が急激に低下し、意識を失います。よくあるのは、不整脈や房室ブロックです。心臓からくる失神も一部を除いて、後遺症が出ることは少ないのですが、突然、姿勢維持を行っている筋肉の緊張が消失するため、倒れこんだ時に頭部や四肢などをまともに床や壁に激突させて、外傷を負うことが多いので
軽視できません。規則的な拍動は、心室に十分血液を

溜めて、一気に心室の収縮が起こり、脳を含めて全身に血液を送り出します。しかし不整脈があると、心室に血液が十分溜まる前に心室が収縮するため、空振りをしているのと同じになります。空振りはたまにするだけなら無害ですが、繰り返すと無意味な運動なので、脳は循環不全となります。典型的なIII度房室ブロックとは、体のペースメーカである、洞房結節のリズムがきちんと心室に伝わらず、安全装置としての心室側の房室結節が替わりにペースメーカーとしてリズムを刻みます。房室結節は洞房結節と比べ拍動のリズムが2/3以下なので、ぎりぎり体の機能を維持することはできますが、少し負荷がかかるだけで心臓のポンプ機能が間に合わず、循環不全が起こります。その他、体に大きな問題がないのに失神する場合があります。代表的なのは、ヒステリーと呼ばれる精神的な問題で、ストレスに過剰に反応しすぎる場合です。ショックで気を失う精神的な失神は、外傷が見られない場合が多いようです。
 最後に一つ忘れてはいけないのは、てんかんです。てんかんというと、手足がけいれんして、ピクピク動くことを想像しますが、急に意識を失い、倒れてしまうタイプの、欠神発作と呼ばれるものもあります。体に問題がなく、ストレス等、精神的なきっかけもない場合、これが疑わしくなります。
MRIなど、脳を調べても異常が無く、脳波が決めてとなります。脳腫瘍など脳の異常もてんかんの原因となりますが、たいがいマヒその他の神経症状を伴います。

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