体重が増える場合

1)水が増えている場合
 腎臓が相当悪くネフローゼ腎不全になっていたり、体内の水分を捌いている心臓の働きが不十分(心不全)だと、処理できなかった水分が体内に溜まります。これはむくみ(浮腫)と言われ、日中は体の下であるスネや足の甲が腫れ、寝ている間にその水は上半身に移動し、朝起きると瞼や顔面、手指がむくんだりします。このむくみは、指で押すと押しあとがベコンと数十秒残ってしまうタイプです。リンパ管が閉塞してその末梢(足や手先)がむくむリンパ浮腫も同様です。これらは原因をきちんと調べ、対処する必要が高い体重増加です。ネフローゼなどの腎疾患は、糸球体からのタンパク質の漏出を起こさない治療が有効で、心不全なら心臓の負担を解消したり、強心作用のある薬を使います。水が溜まっているので、フロセミドなどの利尿剤で水を絞り出す治療は共通で有効です。
2)水以外の成分が増加する病気
甲状腺機能低下症
:甲状腺ホルモンが不足すると、皮フと筋肉の間の結合組織に、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸などのムコ多糖類が溜まります。これらの物質は分子量が大きいた

め、水のように簡単に移動することができずゼリー状になり指で押したときの押しあともはっきりとへこまず、ボンヤリした圧痕になります。
クッシング症候群:副腎皮質で作られるコルチゾールというホルモンが過剰になり、体の様々な代謝が狂う病気です。高血圧や糖尿病、骨粗鬆症などの合併症の他、顔面や肩などを中心に皮下に脂肪が溜まり、満月様顔貌やバッファローの肩と言われる特有な外見になります。これは内服や注射の副腎ステロイドの長期連用によっても同様なことが起きます。クッシング症候群の場合、ホルモンを過剰放出する副腎腫瘍などの摘出手術が必要で、薬剤によるものであれば、薬を止めることで解決できます。
3)単に太っている場合
 食べ過ぎ、運動不足で体重が増える場合は、全身に脂肪がつきます。おなか(腹腔内)には内臓脂肪がつき、肝臓についた脂肪は脂肪肝や脂肪性肝炎の原因となり、皮下には皮下脂肪としてつきます。従って、体全体のボリュームは増し、顔は丸く二重アゴとなり、お腹が出てきてベルトがきつくなります。また、皮下の脂肪はコートを一枚余計に着ているのと同じなので、筋肉で発生された熱が放散されず、ちょっと動いただけで異常に汗をかきます。

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