骨粗鬆症と圧迫骨折

 骨強度の低下により、骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患です。閉経後の女性や高齢者に好発します。骨がもろくなると目に見える骨折以外にも様々な障害が起こり、一人での生活が困難になるなど、高齢者の生活の質の低下に直結します。具体的には、背骨が曲がったり腰痛が原因で、歩行が困難になったり、寝たきりに陥ることです。背中の曲がりは胸椎や腰椎の圧迫骨折が原因で、直立した姿勢が保てなくなり、バランスを取るため膝が曲がってしまい、転びやすくなります。
 図をご覧下さい。一番左が健康体で、体重がまっすぐ足にかかり、筋肉に力を入れずとも立って歩くことができます。真ん中のように胸・腰椎がくさび形に潰れてくると、前後のバランスを取るためどうしても膝が曲がってきます。膝が曲がると足の骨でまっすぐ上体を支えることができず、太股や膝下の筋肉で体を支えることになり、立っているだけで筋肉が疲れてしまいます。すると、歩くため

に筋力を使えず、転びやすくなります。圧迫骨折を起こした脊椎の骨は、元どおりにはなりません。あとは、他の部位も同じように潰れないよう予防するか、転ばないように歩くときの工夫をするしかありません。図のような杖は一見転倒防止に役立つように見えますが、立つ姿勢を正すことができず、歩きやすくなることはありません。歩きにくいと歩くのがおっくうになり、つい歩かず足の筋肉が衰えてしまい、益々転びやすくなる悪循環に陥ります。そこで、歩くときにカートや歩行器を押すと、前かがみになっても体重をカートが支えてくれるため、骨盤から下が左の図と同じようにまっすぐになり、歩きやすくなります。最近歩くのが大変になったと思ったら、図のように背中が曲がっていないか、起立時に膝が曲がっていないか確認してください。もし該当するなら圧迫骨折が始まっています。骨粗鬆症の有無を評価し、適切な予防策を講じるとともに、カートなど歩きやすい工夫をしてどんどん歩いて筋肉を維持し、転びにくい体作りを始めて下さい。

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