1)風疹:俗に"三日ばしか"と呼ばれ、1週間近くも熱に悩まされるはしかに似た発疹が出るウイルス感染症です。発熱と、首や後頭下部のリンパ節の腫れが出て、1~2日遅れて全身にかゆみのない斑状の発疹がでます。三日ばしかと言われるように、三日ほどで熱は下がり、発疹は消退するのでその俗名が付いています。
 インフルエンザ程度のダメージですが、まれに脳炎や特発性血小板減少症を起こすこと、妊婦がかかると先天性風疹症候群を引き起こすことが問題です。
先天性風疹症候群は、妊婦が風疹に感染し、胎児に様々な奇形が起こる病気です。特に妊娠初期から中期に多く、11週以前ではほぼ必発、12~16週で約半数に起こり、それ以降はほとんど起こりません。代表的な症状は、難聴、先天性心疾患(動脈管開存、肺動脈狭窄、心室中隔欠損など)、白内障などです。
 風疹はウイルスに対する有効な治療法が無いため、自然に治るのを待ちます。MRや風疹単独のワクチンの予防効果は95%以上と言われているので、対象年齢のお子さんや、妊娠可能な女性は必ず接種しておきます。
 集団生活に戻るのは
発疹が消えてからでしょう。
2)麻疹(はしか)
 咳やクシャミでうつる、きわめて伝染性の高いウイルス疾患です。子供の感染症としては重症で、脳炎や肺炎で死亡することもあ

り、古来は子供の"いのち定め"と呼ばれ、恐れられた病気です。
 カタル期と呼ばれる、クシャミや咳、鼻水、発熱などの症状の後、
いったん熱は下がったふりを見せ、発疹のでる発疹期に入ります。この間も高熱が続き、およそ1週間床に伏せることになります。熱が下がってくると、発疹は黒ずんだ色素沈着になり、回復期に入ります。
 このように
インフルエンザに2~3回続けざまに罹ったような大風邪がはしかなので、中耳炎、肺炎、心筋炎や脳炎、角膜潰瘍など合併症だけでも30%の人に起こります。発展途上国では死亡率が2%とも言われ、今でも"いのち定め"です。風疹同様に抗ウイルス剤がないので、自然に治るのを待ちますが、その間脱水の予防に努めたり、合併症を起こしていないかの詳細な観察が必要です。
 予防は、MRワクチンなどの予防接種で、2回接種すると99%の人に抗体ができます。また、感染者に接触後、72時間(3日)以内にワクチンを接種すると、発症を防ぐことが可能で、120時間(5日)以内なら、発症しても軽症で終わることが期待できます。
 潜伏期間はおよそ2週間なので、どこで感染したかわからないこともありますが、学校や会社など集団生活の場で複数の発症者がでることもあります。集団生活に戻るのは、
解熱後3日経ってからです。






もう一度、小児の感染症
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