「血液は体の1/13である」という、話をお聞きになったことがあるでしょうか?血液は液体ですから、体内に水は相当量あると予想できます。血液中の水はせいぜい体重の5%で、体全体で見るとたった1/12にすぎません。しかし水は血液中に存在するだけではありません。水は体重のなんと60%を占めるのです。
 それでは、いったいどこにそんなに水があるのでしょうか?グラフをご覧ください。細胞の中(細胞内液)に40%、リンパ液を含めて細胞の外に15%(組織液)、血液に5%(組織液と血液をあわせて細胞外液と呼ぶ)、以上を総計すると体重の60%が水です。残りの40%が、タンパク質、脂質、グリコーゲンなどのでんぷん質、そして、塩とも言われるミネラルです。
 ミネラルというと、骨のカルシウム(Ca)が一番最初に浮かびますが、まさにその通りで、ミネラルの中でもっとも多いのがCaです。しかし、体重あたりのCaの量は、1.4%にすぎず、水やタンパク質(16%)に比べ遥かに及びません。これは、骨はCaだけでできているのではなく、タンパク質にカルシウム塩が沈着したものだからです。Caのほかに大切なのはナトリウム(Na)、カリウム(K)、鉄(Fe)、などの正の電気をもった金属と、塩素(Cl)、リン酸など、負の電気をもった酸の一部です。この正と負のイオンが結合したものを"塩"と呼び、その代表が、NaとClが結合した塩化ナトリウム(食塩)です。さて、体内にはこれ以外にも様々な塩が存在し、体の構成要素になったりバランスを保つために使われています。Caに続いて代表的な金属は、NaとKです。

 Naは、血液などの細胞外液に豊富に存在し浸透圧の原動力です。浸透圧とは、一言で言うと水を引きよせる力です。たとえば、ナメクジに食塩(NaCl)をかけると食塩の浸透圧がナメクジから水を引き寄せ、ナメクジは脱水になってしぼみます。浸透圧は他にもタンパク質などで生じますが、浸透圧の仕組みによって細胞内外での水の出入りがおこります。
 Kは細胞内の主な金属イオンです。Naとともに正の電気を帯びており、これらの出入りによって細胞表面の電気の状態が変化し、神経や心臓の情報伝達、筋肉の収縮が行われます。
 Feは言わずとしれた血液(赤血球のヘモグロビン)の成分です。
 細胞外液の主な負イオンは、塩素(Cl-)です。これは、Na+に拮抗して、細胞外液を電気的平衡に保っています。
 細胞内液の主な負イオンはリン酸イオン(PO43+)です。PO43+は、核内のDNAやRNAの成分になったり、細胞がエネルギーを使うときのエネルギー仲介物質であるATPやADP、ホルモンなどの情報伝達の仲介物質であるcAMPの成分です。また、細胞膜や赤血球、骨の大切な構成成分でもあり、酸・アルカリのバランスを保つ働きもしています。
 負のイオンは他に、血液の酸・アルカリのバランスを保つ働きをしている炭酸イオンやタンパク質があります。






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