鎌倉市大船 山口内科 すこやか生活13巻8号

すこやか生活

頭痛の種と種あかし

"Seed of Headache"、英字新聞の何かの記事でこの熟語を見たとき、日本語で時々使われる"頭痛の種"という言葉は、英語の訳から来たものだと始めて知りました。童謡の、"メダカの学校は〜♪"も、魚の群れをSchool of fishと記すことに由来するように、身近な日本語表現の中に様々な英語表現が含まれています。さて、この頭痛の種ですが、含蓄のある表現で、様々なイメージをかき立ててくれます。頭痛の芽がニョキニョキ生えてくる温床という意味か、頭の中に固い何かができていてごりごりと脳を圧迫するものなのか、はたまた心の奥底に潜み、ストレスとして肩から首筋にずっしりのし掛かってくる悪夢のようなものなのか、"種"とは何か?と、様々なものを考えてしまいます。
 植物の種と同様に、頭痛の種も様々な病気として花を開いてしまう可能性があり、一様ではありません。ましてや、本当の痛みでなく、家庭や社会など多くの人が集まる場での頭痛の種は千差万別で、つきるところがありません。今回は主な頭痛の種を皆さんがイメージしやすいように分類しに、種あかしをしてみましょう。
1:脳圧が上がる頭痛の種(脳内の痛み)
 頭の中の圧力が増し、頭蓋骨に包まれる脳が圧迫され窮屈になって感じる頭痛の種です。頭痛の種の内、強い痛みの原因となるため、急を要することの多い頭痛です。イメージしやすい典型的な例はクモ膜下出血です。突然狭い頭蓋骨という閉鎖空間に、血液が噴き出すため頭の中の痛みは半端ではありません。ハンマーでたたかれるような痛み、頭が割れるような痛みな

どと表現されます。同時に手足のマヒが来たり意識が遠くなるなど他の神経症状が出るため、救急車を呼ぶことがほとんどです。なお、クモ膜下出血は急激に脳圧が上がるので、頭痛も激烈ですが、同じ脳圧が上がる頭痛でも片頭痛や脳腫瘍などの痛みはやや軽く、比較的緩やかに推移します。
2:頭蓋骨・骨内の頭痛の種(脳外の痛み)
 頭蓋骨には、中耳を納める部分や副鼻腔といった、骨内の洞穴があります。この部分に炎症を起こして感じる頭痛です。中耳炎、副鼻腔炎がその代表です。痛みの場所は洞穴に一致するため、耳の奥、目の奥、上、頬のあたりなど耳や目の周囲に痛みが出るのが特徴です。
3.頭蓋骨の外の頭痛の種(筋肉痛)
 頭の骨の外には、ロースの薄切りのような筋肉が着いています。目を見開くと額にシワがよりますが、このシワの正体は筋肉です。同様な筋肉が頭のてっぺんから額、頬、アゴなど頭蓋骨のあらゆるところに付着しています。この骨につく筋肉の筋肉痛が、最も多い頭痛の種です。
4.頭蓋骨の外の頭痛の種2
(皮膚の痛み)
筋肉の外側は皮フです。髪の毛の根本も皮フにありますが、皮フには血管、神経が走っています。この皮フの神経痛が頭蓋骨外の頭痛の種として有名です。三叉神経痛俗に顔面神経痛と呼ばれていることもあります。神経痛ですのでピリピリとか、ビリビリ、チクチクなどと表現されます。






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帯状疱疹 皮フ由来の頭痛
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頭痛時の上手な対応