腹痛の位置と臓器

 腹痛で来院する人を診察するとき我々は、お腹を触診します。触診をするに当たり、@痛みの位置、A痛みの強さ、B腹膜刺激症状の有無、C胃腸の動きなどを確認しながら進めています。主な臓器の痛みの位置を図に示しました。
 右上腹部は、胆のうや肝臓があります。上腹部中央は、胃や十二指腸球部、食道下端などの痛みの出る場所です。左上腹部はあまり特徴的な痛みが出る場所ではありませんが、胃痛や腸閉塞、虚血性腸症候群などで痛みます。一番わかりにくいのは、おへそのあたりが痛む場合です。様々な臓器が重なっているので、痛みの原因もまちまちです

が、最も多いのが胃です。右下腹部は盲腸(虫垂炎)の痛みが最も出やすいところです。その他、大腸憩室炎など上行結腸などの腸の痛み、右卵巣の痛みもここです。下腹部中央は、膀胱炎など膀胱痛、子宮、直腸の痛みです。左下腹部はノロウイルスなどの大腸炎でよく見られるS字状結腸の痛みが中心です。下痢を伴うのも特徴的です。大まかな臓器の痛みの位置を図示しましたので、ご参考までに。なお、必ずしも図と一致するわけではありませんので、くれぐれも安易な自己診断は慎みましょう。

腹痛の場所と主な臓器

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