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ロコモティブシンドローム

 最近時々見聞きする言葉に「ロコモ」と呼ばれるものがあります。これはロコモティブシンドロームという造語の短縮形で、「年を取って、筋肉・関節・骨などの運動器が傷み、立ち上がりや歩行などの運動能力が下がって、要介護状態になったりなる可能性のある状態」を指します。シンドロームという言う名のとおり、様々な原因によって動けなくなるため一つの病名ではありません。
 近年、高齢者人口が増え、しかも自動車の普及、都市生活者の増加、そして農作業などの肉体労働人口の減少などの運動不足から、今後動けなくなって介護される側に回る高齢者とその予備軍が急増中です。その手前の人たちに、介護される側に回らないよう注意を喚起するために作られた言葉がこの覚えやすい「ロコモ」です。メタボに比べ、なにやら可愛らしくアクティブな雰囲気のある名前ですが、それもそのはず、機関車の英語名のロコモーションと共通の語幹を持つロコモーティブ(移動能力)を冠するからです。

 現在、介護給付を受けている人の比率は、65〜69歳で2%、70〜74歳で5%、75〜79歳で11%となり、80〜84歳では22%と年齢が上がるにつれ高まっています。核家族化が進んでいるため家庭内に介護者がいる人もまれになります。
 要介護になる原因は、脳卒中や心臓疾患、アルツハイマー型認知症が有名ですが、前者はメタボ関連、後者は手の施しようのない脳の老化から来るものです。これに対し、ロコモは体の動きが悪くなる運動器の老化の総称で、具体的には
@骨粗鬆症による骨折
A膝などの軟骨の加齢による変形性関節症が原因の歩行障害
B背骨や椎間板の劣化からくる脊柱管狭窄症による脊髄や神経障害
の3つです。
 これらは要介護者に陥る原因の1/4〜1/3を占めています。
 今回は、ロコモについての知識を広げ、少しでも自分の足で歩ける老後を送れるように考え、実行できることは今から始め備えていきましょう。






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