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は副作用が出たときだけに限らず、効果が出ている場合ででも、どちらがより効いているのかわかりません。このため我々もあまり考えず、つい継続しがちです。
4)剤型の違い
 近年多いのは、ラムネ菓子のように口の中で溶け、水がなくても飲める剤型です。その他、効果の持続時

間が長いタイプで、飲み薬やインスリンでも1日1回の使用で、複数回の薬剤と同様な効果が得られる剤型です。(後述)骨粗鬆症やリウマチの薬では1週間に一回の薬もあります。長時間効果が持続する薬は便利ですが、どうしても飲み忘れがちになります。曜日や時間を決めてお忘れなく服用下さい。

分子標的薬






 一つ一つを覚えていても意味がないので、こんな病気に新薬が出てきているのだなという視点でご覧ください
1)モノクローナル抗体(注射薬です)
インフリキシマブ・アダリムマブ

 TNF−αに対する抗体で、関節リウマチ他、前者はクローン病やベーチェット病、後者は乾癬などで使われます。
リツキシマブ
 CD20というリンパ球のB細胞の表面にのみ存在する物質を目標に、B細胞をたたく抗体がリツキシマブです。B細胞性のリンパ腫で使用されています。自分の体のB細胞が作る抗体で様々な臓器が冒される、関節リウマチ、SLE、ネフローゼ、ウェゲナーの肉芽腫などでも効果が期待されています。
トラスツブマブ(ハーセプチン)
 HER2と呼ばれる酵素は、乳ガン細胞の表面にたくさん表出しています。このHER2を標的として乳ガン細胞をたたくモノクローナル抗体がハーセプチンです。
オマリズマブ(ゾレア)
 人のIgE抗体に対するモノクローナル抗体で、一般的な治療でうまくいかない重症なアトピー性の喘息で使われます。
ラニビズマブ(ルセンティス)
 脈絡膜の血管新生が視力低下の原因である加齢黄斑変性症で血管新生を防ぎます。

 その他-大腸ガンなどで使われるセツキシマブやバニツブマブ、CD33陽性急性骨髄性白血病に使われるゲムシズマブなどがあります。血管の細胞に対する抗体で大腸ガンや肺ガンに使われているベバシズマブはラニビズマブ同様に治療が困難だった黄斑変性症への応用も期待されています。
2)低分子化合物
チロシンキナーゼ阻害剤
ゲフィチニブ(イレッサ)・エルロチニブ

 肺ガン治療でよく使われています。副作用も有名ですが、驚くほど効くことがあります。
イマチニブメシル塩酸(グリベック)
 慢性骨髄性白血病やそれと同じ染色体を持つリンパ性の白血病に使われます。
エタネルセプト(エンブレル)
 TNF-αの受けとる働きがあり、体内で炎症の原因となるTNF-αを掃除するリウマチの薬です。
ソラフェニブ(ネクサバール)
 血小板由来増殖因子の受容体酵素を阻害し、腎ガンや肝ガンで使われます。
ボルテゾミブ
 多発性骨髄腫で使われる、プロテアソーム阻害剤です。
 以上羅列的に書きましたが、抗ガン剤や治りにくい自己免疫疾患の薬ばかりです。値段は高いですが、難治性の病気の光明が射してきたのも事実です。

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