インクレチン関連薬

1)DPP-4阻害薬
 DDP-4は主に、前述のGLP-1を分解して、そのインスリン分泌を促す働きを抑えます。そこで、DDP-4の働きを邪魔すれば、GLP-1が機能して膵臓が十分なインスリンを分泌します。この邪魔をする物質がDDP-4阻害薬です。
 DDP-4阻害剤の特徴は、GLP-1を増やし過ぎないこと、食欲低下、体重減少などがなく、軽い便秘ぐらいと低血糖を含めた問題のある副作用があまりないことです。現在、シタグリプチン(ジャヌビア)、ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン(ネシーナ)が認可されており、SU剤やメトホルミンとの併用で用いられています。単独で用いても、HbA1cがおよそ0.7〜1.1%程度低下すると言われています。その他類似薬がいくつか開発中です。日本では成人の2型糖尿病治療は主にSU剤といわれるオイグルコンなどの薬が主力です。欧米では、メトホルミンのほか、このDPP-4が第一選択薬として推奨されています。今後この薬が主力になる可能性が高いと言われています。
2)GLP-1アナログとGLP-1アゴニスト
GLP-アナログ
---GLPの類似物質で、同じくGLP-1受容体に付着し、GLP-1と同じような働きをします。リラグルチドという薬品が既に、日本でも発売されていま

す。一日一回の皮下注射で用いられています。
GLP-1アゴニスト--膵臓のGLP-1受容体を刺激する物質です。エクセナチドという薬剤が、アメリカで使用されています。一日2回皮下注射で使います。HbA1c、空腹時や食後の血糖値の低下のほか、体重減少作用があると言われています。インスリンや、経口糖尿病薬により、体重が増加する方が見られるのと対照的です。
 注射するインスリン量を減少させたり、膵臓を守る働きも注目されるなど、色々な応用が期待できます。現在作用時間が長い薬も開発されており、一週間に一度の注射で済むタイプのエクセナチドLARが2009年7月にアメリカで認可されました。
 これらの特徴は、@強力かつ持続的にHbA1cを低下させる優れた血糖改善効果。A血糖値が高い場合にのみインスリン分泌作用を発揮するため、低血糖の発現頻度が低い。B多くの現行の治療法は体重を増加させるが、リラグルチドは体重増加を抑制します。Cインスリンを分泌するβ細胞の機能を改善させます。β細胞機能の改善は糖尿病の進展を予防すると期待されます。
 以上、どれも現在手詰まりな患者さんには朗報となるでしょう。選択肢が増えるので我々も助かります。






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