換気ができない呼吸不全

 換気とは、お部屋の換気と同様に肺の中の空気を入れ換えることです。様々な病気や問題で、次の2つのことが起こり換気ができなくなります。
@気道狭窄:気道(鼻・ノド・気管支)が狭くなり空気の出入りができなくなる。
A呼吸運動障害:空気を出入りさせる動力となる横隔膜や肋間筋の動きが悪くなり、換気をする力がなくなる
 この2つの仕組みを意識しながら様々な呼吸不全を起こす病気を紹介します。
@喘息・COPD(肺気腫・慢性気管支炎)
 2つは別の病気ですが、呼吸に関しては気道(気管支など)の狭窄がメインで似通っています。前者はアレルギーによって気道の粘膜に炎症が起きています。後者は長期に渡る穏やかな気道の炎症が原因で、どちらも空気が吸いにくくなる呼吸不全を起こします。共通する治療の考え方は、狭くなった気道を広げることと、原因となる炎症を鎮めることです。なお、気道の狭窄が重症になると息を充分はくことができず、二酸化炭素がたまる場合もあります。
A運動障害 酸素以外の治療が困難
胸郭形成術(結核の古い手術) 胸を包む肋骨を含め、肺をつぶす手術でした。これを受けた方は事実上換気ができず、片肺になるのと同程度の後遺症が残っています。
横隔神経マヒ 手術や癌などで呼吸筋の主力である横隔膜を動かす神経を痛めてしまった場合です。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
 体の至る所の筋肉が動かなくなる神経の難病です。呼吸

する筋肉も動かなくなるので人工呼吸器をつけないと生命が維持できません。
おなかがつかえる場合など
 高度肥満や、癌や肝硬変などでおなかに水が溜まっている場合です。深呼吸しようとしても、横隔膜がおなかの脂肪や水につかえてしまい、下にさがらず換気ができません。肥満はダイエットで何とかなりますが、腹水は一時的に抜いてもすぐ溜まるため、原因疾患の治療が中心です。
自然気胸 肺に傷がつき、丁度風船に穴が空いて膨らまなくなるのと同様、肺がしぼんでしまう病気です。空気が入っても肺から漏れてしまい、漏れた空気が肺と胸の壁の間に溜まって肺を圧迫し、押しつぶしてしまいます。ここまで行くと呼吸不全を起こすので、漏れた空気を体の外に出して肺を膨らませたり、手術をして穴の空いた弱い部分を切り取る治療などが必要です。
 換気ができない呼吸不全は二酸化炭素をはきだすこともできない場合が多く、酸素をたっぷり吸っても呼吸不全の治療がうまくいきません。深呼吸(腹式呼吸)の練習など呼吸のリハビリやトレーニングが必要ですが、元々構造的な問題を抱えている場合が多く、思ったほどうまくいきません。
睡眠時無呼吸症も、この仲間です。寝ているときに息をしなくなるので低酸素+高二酸化炭素状態となります。次第に息苦しさ増し、積もりに積もって突然苦しそうな大きな呼吸をして解消します。いびきをかくことでも有名です。







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