すこやか生活

第10巻7号 

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薬の飲みあわせ

 たくさんの薬を飲んでいると、各々の薬がお互いに悪さをするのではないかと気になります。そこで、数分〜数十分間隔をあけて飲んでいる方もいますが、これはあまり意味がありません。薬は胃に入って溶け、腸に入って吸収されてから効力を発揮します。この間の時間は数十分〜数時間単位なので、時間差で服用してもあまり意味がないのです。
 飲みあわせで問題になるのは、次の2つの場合です。
  一方の薬の効果が強めに出てしまう
  一方の薬の効果が打ち消されてしまう
1)一方の薬の効果が強めに出る
 同じ方向性を持つ薬を複数飲んだ場合、思ったより効果や副作用が強く出てしまうことがあります。必要に迫られて2つ以上使わざ

るを得ないことも多く、喘息の気管支拡張剤、高血圧の薬、糖尿病の薬などが該当します。多くの薬を分解処理する肝臓の酵素の働きを抑制する抗生剤のクラリスなどは、薬の効果を強めたり持続時間を伸ばすことがあります。
2)一方の薬の効果を打ち消す
 逆方向の薬を使った場合です。やむを得ない場合もありますが、β-ブロッカーを使っている方に、β2刺激剤を使う場合などです。その他、前立腺肥大の薬を服用中の方に、抗コリン剤や抗ヒスタミン剤を使うと効果が減弱します。
 先ほどと逆に薬を分解する酵素を増やす薬もあります。抗結核剤のリファンピシンや抗てんかん薬のフェノバールなどです。喘息治療薬のユニフィルなどは分解されやすくなり、効果が弱まります。






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