5.心不全の兆候と治療

心不全は様々な原因で、心臓が痛んだりくたびれたりして、血液を送り出すというポンプの働きが充分できない状態をいいます。虚血性心疾患、弁膜症、先天性心疾患、不整脈、高血圧、肺結核の後遺症など原因は十人十色です。一回の拍動でたっぷりと血液を送れないため、心臓は拍動の数を増やし、小刻みに血液を送ります。これを頻拍(頻脈)と呼び、脈が速くなります。戻ってくる血液を充分処理することができないと、足の静脈に血液がよどみ、むくみが出ます。足の甲を指で押すとへこんだり、普段から足が冷たく感じる方は要注意です。(足の皮膚の下に水が貯まると、常時濡れタオルを巻いているのと同様で冷たく感じます。)また、肺に血液がよどむと肺が水浸しになって、酸素が取り込めず息苦しくなります。これを肺水腫と呼びます。初期の症状として

は、階段や坂を上ると息切れがしたり、せき込んだりします。ここまで来ると危険な状態で、速やかに治療が必要です。心不全治療の基本は心臓の負担となる循環血液の総量を減らすことです。一般に利尿剤と呼ばれる薬で血液中の水分を尿として搾り出し全容量を減らします。また、強心剤は心臓を元気づけ、心臓の拍出量を増やします。レニベース、ロンゲスなどの血圧を下げる薬も有効です。はっきりした原因があればその治療も必要です。ご家庭でできる予防は、体に水を貯める働きのある塩分を制限することと、水分を取りすぎないよう注意することです。
心不全は心臓病の最終段階で命取りになります。早期発見と治療に努め、くれぐれも無理をしないで下さい。










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心不全の兆候と治療 編集後記