血球細胞が多い場合

赤血球が多い場合(多血症)
 赤血球は体内の酸素の運搬を果たしています。従って、酸素の需要が増えると体は自然に赤血球の増産を行います。よく知られているのは、マラソンや自転車選手のように有酸素運動を行うアスリートの場合です。特に、酸素の薄い高地トレーニングを行うと増えてきます。過去にはEPOと呼ばれるホルモンの注射で赤血球を増やし、オリンピックやツールドフランスなどで勝った選手もいました。血栓を作りやすくなるため使用禁止薬剤に指定されてからはドーピングテストで発見され、メダルや優勝歴を剥奪された選手もいました。一般人で多いのは、知らず知らずのうちに酸素需要が増えている人です。昔は肺結核などで酸素を体内に取り込めず、多血になっている人がいましたが、最近はまれです。近年目立ってきた多血の原因は、ズバリ肥満と喫煙です。肥満は睡眠時無呼吸症を起こすなど、夜間を中心に低酸素状態となり検診などで引っかかります。喫煙も同様です。赤血球が増加すると、血液がネバネバし、頭痛や頭重感、めまいや疲労感を覚え、目の充血や赤ら顔となり血圧が高くなることもあります。なお、真性多血症という遺伝子異常を伴う、腫瘍に近い疾患もありますが、まれです。

白血球が増える場合

 白血球の正常値は30009000/μlほどです。しかし、個人差が大きく、12,000くらいが本人の正常値という方も結構います。一般に感染症などで白血球の需要が増えると増加します。細菌感染では、主に好中球がまた、ウイルス感染では、リンパ球が増加します。ストレスや激しい運動などでステロイドホルモンの分泌が活発になったときにも増加します。また、薬物中毒、膠原病などの炎症性疾患、アレルギー疾患などに伴って増加することもあります。白血病などの腫瘍性疾患もありますが、ごくごく少数なので、あわてずに血液検査を再検して、白血球の中の細胞の種類・バランスがどうなっているか、血液像で確認しましょう。
血小板の増加
 血小板の増加は、あまり特徴的ではなく、様々な疾患に反応して起こります。感染症、感染症以外の炎症性疾患(リウマチや膠原病など)、血液疾患以外の悪性腫瘍(ガン)などです。また、出血や溶血など、急な貧血で骨髄が活性化されたときにも起こります。ごくまれに、本体性血小板血症という遺伝子異常を伴う腫瘍性に血小板が増加する疾患も見られます。

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