概観)
 冠動脈のある部分が完全につまってしまい、血流が途絶して、その動脈が酸素や栄養を送っている一部の心筋が死んでしまう病気です。つまる場所が動脈の根元か先の方かで重症度も異なりますが、心筋が死ぬことで、重い心不全や不整脈、心臓が破れる心タンポナーゼなど重篤な合併症を起こし、突然死の原因ともなります。狭心症と似ていますが、図のように血管が完全に塞がり後戻りできない点が異なります。
主な原因と対策)
 前述の狭心症と類似ですが、より重症なので、狭心症のうちに対策、治療をしておくことが大切です。
治療の目的)
 心筋梗塞は、永久に血管がふさがり、血管が血液を送っている心筋が死んでしまうため、①早めの対処で心筋が完全に死ぬ前に、血管の再開通をめざして心筋を守ること。②一部が死んでしまった場合でも、他の部位の心筋まで死んでしまわないよう、動脈硬化を起こしている血管を広げること。③危険な合併症を予防したり治療することが必要です。
 近年、心筋梗塞は、病院に到着してから治療により冠動脈が再開通するまでの時間が、短ければ短いほど、短期的、長期的な生存率、心機能の維持率が高い

ことがわかってきました。これは、とりもなおさず、発作が起きてから血管治療までの時間短縮が大切であることを意味しますので、心臓の専門病院が救急隊を巻き込んで、発見から少しでも早い治療を目指す運動が起こっています。従って、心筋梗塞かもと思ったら、すぐ医療機関を受診し、心電図で心筋梗塞でないかどうか確認することが大切です。かかりつけ医を含め、受診したら受付ですぐ心電図を調べて欲しい旨を伝えましょう。
心筋梗塞を疑う症状)
 胸の広い範囲で圧迫感や焼けるような激しい痛みが30分以上続きます。みぞおちや腹、肩や首など胸の周囲に痛みが広がるようなこともあります。 痛みだけでなく、冷や汗や脂汗をかいたり息苦しくなったり、気持ち悪くで吐き気を覚えることもあります。ただごとでなく、いやな感じを覚えたら要注意です。様子を見ずに、すぐ医療機関を受診することが、心筋梗塞で命を失わないための手だてです。

心臓の仕組みと働き | 狭心症の概要 | 心筋梗塞の概要
血液をサラサラにする薬
| 虚血性心疾患の治療