心筋梗塞などの病気で入院した場合、そのときが急性期で、一般的に日常生活に戻れる程度にリハビリをして退院させるのが一般的です。こちらは病状によって様々なので、入院したときに病院の理学療法士さんの指導の下に行います。ここでの話しは、退院後の慢性期のリハビリです。
心筋梗塞のリハビリ
 梗塞(心筋が死んだ部分)の大きさや、残存冠動脈の動脈硬化の程度によって一概に言えませんが、運動をした方が冠動脈のバイパスが生えやすく、動脈硬化の予防になります。しかし、やりすぎると狭心症や心筋梗塞を誘発するので痛し痒しです。ここで一番問題になるのは、運動強度です。言い換えると、どのくらいの激しさの運動までやっていいのかと言うことです。一番簡単な目安は、
最大心拍数の5070%の運動強度です。
最大心拍数は実際に測定できれば良いのですがなかなか難しく概算値を使って結構です。
最大心拍数=220-年齢
 
70歳なら最大心拍数が22070=150
 その5070%なので、75105/
 となります。このくらいだと、ウォーキング
から、速歩、軽い自転車こぎ程度となります。歩きながら自分の心拍数を数えてみて、もしこの範囲なら、少しずつスピードを上げ、どのくらいまで心拍数を上げて良いのか確認す

るといいでしょう。また、スポーツクラブやジムのエアロバイク(自転車こぎ)やトレッドミル(歩行・ランニング用のベルトコンベア)等には、心拍数計測がついていますので確認して下さい。また、最近は手首で心拍数を計れる腕時計などもあります。以上を目安に、まずはどの程度やってよいか医師に相談して下さい。
心不全のリハビリ
 心臓病で足がむくむような場合は心不全です。基本的に心臓に負荷をかけると心機能に余裕が無いので心不全に陥ります。従って無理な運動は禁物ですが、全く動かないのも足腰が弱り、日常生活に支障をきたすため最低限のリハビリは必要です。そこで、息切れや動悸がしない程度のウォーキングなら何とかできる可能性が高いので、長く速く歩く必要はありませんので、ゆっくりと平地を歩いて下さい。足が弱らないようにすることが目的というイメージです。
足の血管のリハビリ
 5分歩くと足が痛くなって立ち止まりしばらく休まなければならないという間欠性はこうは、足の動脈硬化や動脈の血栓などで起こります。脊柱管狭窄症が否定されたなら、少しずつ歩くことで徐々に足の動脈にバイパスが生えてきます。痛みに堪えて歩くのは無理がありますが、痛くなるかもと言って歩かないと益々動脈の病気が進行します。痛み始めたらすぐ止まって休むを繰り返すイメージで、少しでも足を使って下さい。

運動療法をやっては行けない場合

ほとんどの内科疾患、特にメタボ関連の疾患は運動のリハビリが様々な点で効果を上げます。ところが、同じ病気でも以下の様な状態の時は運動による弊害や、急性の機能障害や発作を誘発することがあるため行ってはいけません。
・不安定狭心症(狭心症が出てまもない
 時期)
・コントロール不良の高血圧:安静時
 収縮期
180mmHg以上、
 拡張期
110mmHg以上
・治療しても症状が取れない心不全
・重症の弁膜症
・コントロール不良な不整脈
・ペースメーカー導入前の重症房室ブロック


・コントロール不良な糖尿病
・脱水や、塩分(
Na K)のバランス異常
 これらがある場合は、まずは病気の治療を優先して行います。冠動脈のステント治療、薬剤による高血圧の管理、適切な心不全の治療、必要に応じた心臓の手術、心臓ペースメーカーの導入、インスリンや内服薬による糖尿病管理で血糖値を安全域に下げる、そして、水分や塩分のバランスをとります。
 運動はやれば良いというわけではありません。焦ることなく、運動をしても十分堪えうる体の状況を作ってから、リハビリを行って下さい。

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