糖質コルチコイドの主な働きと副作用

> ステロイド、副腎皮質ホルモンと言ったら、糖質コルチコイド(コルチゾール)のことを指し、ステロイドホルモンの代表選手です。軟膏や、吸入、点鼻、内服薬、注射薬でステロイドと言われているものはほとんど、コルチゾールや改良して合成したプレドニゾロンやベタメタゾン(リンデロン)などです。糖質コルチコイドは、生命を維持するために必須のホルモンで、これ無しでは生きられず、日常でも1日にプレドニゾロン換算で、5mg程度分泌されています。以下の作用があり、薬としてもその作用を補うために使われますが、効果の裏返しとしての副作用の原因にもなります。
糖新生:ゼロからブドウ糖を作るわけではありません。体のタンパク質や脂肪から糖を作ります。本来は飢餓時などに血糖値を上げ、生命の維持に役立てるためです。ところが、血糖を上げる必要のない時に働きすぎると、高血糖となり糖尿病の原因になったり、筋肉がやせ細ったりします。
抗炎症作用、免疫抑制作用:リポコルチンという物質を作り、これが、炎症の伝達信号としてはたらくプロスタグランディンや、ロイコトリエンの材料となるアラキドン酸からこれらの生成に関与する酵素を抑制

します。また、インターロイキン-2の産生を抑制しTリンパ球の増殖を抑えます。そして、ヒスタミンやセロトニンなどアレルギー物質も抑制します。この作用が強すぎると免疫力が低下し、感染症に弱くなります。
血管のカテコールアミンの応答維持:動脈を取り巻く平滑筋が収縮し血圧を上げる働きはアドレナリンなどのカテコラミンの作用ですが、この作用が発揮されるにはステロイドが必要です。作用が強すぎると高血圧になり、弱いと低血圧になります。
骨形成の抑制:骨の基質と呼ばれる部分のタンパク質であるI型コラーゲンの産生や骨芽細胞を抑制します。ステロイドの長期使用で骨粗鬆症に傾きます。
中枢神経への作用:大脳辺縁系に作用し、睡眠の質を変えたり、イライラする、精神的に不安定である、躁鬱になるなどの気分障害を起こします。幻覚が見える等の精神症状を呈することもあります。ステロイド精神病とも言われます。
腎糸球体ろ過量の増加:糸球体の血管を拡張させるため腎血流量が増加します。
 以上見てきたとおり、ステロイドには様々な働きがありますが、「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、せっかく薬効が発揮されていても、別の副作用が前面に出ることがあります。

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