ほとんど全ての物事は、良い面と悪い面が表裏一体となっており、そのどちらを優先するかによって、人はその物事を行うかどうかの選択をしています。ところがこの表裏を持たず、裏だけでできているのがタバコです。タバコは吸っている本人以外にも、周囲の人も自分が吸っているのと同様な悪影響がでます。(受動喫煙)それだけではありません。妊婦さんが吸うと、お腹の赤ちゃんも影響を受けてしまいます。まずは数々の悪影響を確認しておきましょう。なお、タバコを吸う人の発ガン率と吸わない人の発ガン率の比は相対危険度と呼ばれ、何倍発ガンしやすいかを示します。相対危険度が3以上のガンは、タバコの因果関係が極めて高いと言えます。
ガン肺ガンが有名で、以前は肺の根元にできる扁平上皮ガンとタバコの因果関係が高いとされていました。これは、タールなどの大きな粒子は気管支の根元に付着するからと考えられてきました。近年ではフィルタータバコがほとんどのため、大きめな粒子はフィルターで捕捉され、これをすり抜けた小さな発癌性粒子が気管支の末梢に到達し、そこで腺ガンを起こすことがわかってきました。我々が習ったころは扁平上皮ガンが最多と言われていましたが、近年は腺ガンが増加し、ガン細胞のタイプとしては第一位となりました。肺ガンの相対危険度は1530です。なお煙りの通

り道である気道の各部位の相対危険度は、口腔ガン(口唇、舌ガン、口腔)で45、中咽頭ガンと下咽頭ガンが同じく45、喉頭ガンは日本の男性の場合、32と極めて高く、女性は3程度です。鼻腔、副鼻腔のガンで1.52程度、消化器系では、食道の扁平上皮ガンで25です。膵臓ガンで24、胃ガン、肝臓ガンで1.52程度です。尿路ガン(腎盂、尿管、膀胱)で3程度です。
虚血性心疾患(心筋梗塞):冠動脈の動脈硬化による血管の狭窄が冠動脈の血流低下や途絶をまねいて発症します。高血圧や高コレステロール血症が主な原因と考えられていますが、タバコも同じくらいリスクがあると考えられています。タバコ1箱(20本)を毎日吸う人は、虚血性心疾患による死亡が23倍です。
脳卒中(脳梗塞や脳出血):アメリカなどの研究では
20本吸っている人は3倍ほど、日本でも1.53倍ほど脳卒中になりやすいことがわかっています。
COPD(慢性閉塞性肺疾患):ぜん息のように胸がゼーゼーし、終いには呼吸不全に至る病気です。この疾患の原因の8090%が喫煙なので、禁煙がCOPDの唯一無二の予防策です。
 タバコを止めるだけで、これだけ多くの疾患のリスクがぐーんと減ります。一日でも早く禁煙を始めましょう!

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